触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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<子どもの本シリーズ17>NO.32雪の写真家 ベントレー

<子どもの本シリーズ17>              2010.12.24

「出前読み聞かせ」で、 

(NO.32)  雪の写真家 ベントレー

 12月24日のクリスマス・イブの午前中、宮野小学校放課後児童クラブへの図書館ボランティア“ひなたぼっこ”の「出前読み聞かせ」に出かけました。今年は6月22日に一回行っていますから二回目です。10月には築館小学校にも行き、このところ学校への「出張読み聞かせ」は増えてきています。もう冬休みに入っていて、子どもたちは14人、指導員が2人でした。こちらのメンバーは、5人。大型絵本に英語を交えたり、クリスマスの詩や、むかしばなし、手遊びなど。私は、この時期にピッタリの伝記絵本「雪の写真家 ベントレー」をブックトークの手法も少し使ってやってみました。

ブリッグズ マーティン ジャクリーン (著), メアリー アゼアリアン (イラスト),
Jacqueline Briggs Martin (原著), Mary Azarian (原著), 千葉 茂樹 (翻訳)

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出版社: BL出版 (2000/01)

<内容の紹介>
 (「MARC」データベースより)

 アメリカの豪雪地帯にある小さな農村に生まれ、生涯を雪の研究と結晶の写真撮影に捧げたウィリー・ベントレー。世界中の人々に雪の美しさ、神秘的な魅力を伝えた彼の一生を綴った伝記絵本。99年度コールデコット賞受賞作。



<私のシナリオ>

(1)はじめに

 主人公のウィリー少年は1865年、今から145年前に、アメリカ・バーモント州ジェリコの豪雪地帯に生まれました。
 物語は、彼の少年時代から始まります。雪の美しさに魅せられたウィリーは観察やスケッチでは物足りず、両親に懇願して特殊なカメラを買ってもらいます。そして、… 
 これは、雪の結晶の撮影に一生を費やしたウィリー・ベントレーの伝記絵本です。

(2)絵本の読み聞かせ 

 本文に加えて、最後に、晩年の本人(ウィリー・ベントレー)が写真機を盛って写っている写真と、本人の文章を読み上げました。そこには雪の結晶の写真が3枚載っているのですが、ネットで見つけた写真集の一部12枚の写真を大きく引き伸ばして紹介しました。


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 雪の結晶(ウィルソン・ベントレー)撮影

(3) 雪の結晶の問題(の出題)

雪の形って神秘的な形をしています。 もう雪の結晶の写真は少し見せてしまいましたが、
さて,雪の結晶って何角形でしょうか?
5角形?6角形?8角形?さてどれでしょう。

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雪の結晶は基本的には六角形!
(島津製作所の「雪の結晶」から)

答え → 綺麗な六角形をしていました。 五角形や八角形は無いそうです。 
なぜ六角形なのか?それは ここにある * 「雪の一生」科学のアルバム をぜひ見てください。

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あかね書房 片平 考(著)                  「 雪の結晶、雪を観察しよう、」を

(4) さいごに 

 絵本にあったように、ベントレーが亡くなったのは、今から79年前の昨日、クリスマスの2日前、12月23日でした。

 農夫として一生をすごしたアマチュア研究家ベントレーの業績は高く評価され、やがて、世界中の人々に雪の美しさ、神秘的な魅力を伝えるようになるのです。 「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉を残した雪の研究の世界的な権威、日本人の中谷宇吉郎博士が研究を始めたのも、ベントレーが出版した雪の結晶の写真集を目にして、その美しさに目をみはったことがきっかけでした。

最新のきれいな大きな雪の結晶の写真5枚を紹介。

雪の結晶は、降雪をガラス板や黒い布に受けて観察します。(虫めがね。顕微鏡)

 今晩から明日にかけて、雪が降りそうですし、これからは、日中でも雪が空から舞い落ちてくることが多くなってきます。ぜひ、みなさんも観察してみてください。

<ブックトーク的な読み聞かせをしてみて>

 12月5日の記事「ブックトークの実技をしてみて」にあるように、12月4日の初めて私のブックトークは、散々のものでした。しかし、それが大人を前にしてのものであり、講師の高梨さんも言っていたように大いに「失敗しなさい」ということでしたから、今回はその失敗をどうにか生かしてできたと自負しています。

 そもそも、ブックトーク自体が学校での方が向いているということが、今回、はっきり分かりました。「雪の結晶」というブックトークをしたわけではありませんが、それに近いものは出来たと思いました。何よりも、これは子どもを前にしてしなければ意味がないこと。この日の夕方には、雪がチラチラと降ってくるというグッドタイミングでした。ブックトーク的な読み聞かせをしていて、「子どもの目の色が違っている」という実感が持てました。大変、良い経験をしました。



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<子どもの本シリーズ16>

<子どもの本シリーズ 16>

ブックトーク連続講座 
第2回ブックトークの実技(参加者による)をしてみて
                                     
                                                               2010.12.5  
日時:2010年12月4日 午前10時~12時
ところ:栗原市立図書館 2階 視聴覚室
講師:高梨 富佐(たかなし ふさ)氏 (東北福祉大学兼任講師 富士大学司書講習講師)

散々だった初めてのブックトーク

 第2回目となるこの日は、三つの課題:①お母さん ②ともだち ③旅をする の中から1つのテーマで、3冊の本を選び、そのブックトークをというものです。講座参加者14人中、12人が参加し、そのうち10人の発表がありました。

 私は、6番目。1人10分ほどに収めるようにという講師の高梨さんの指示のもと始めました。5人までで、既に10分を皆さん、少しずつオーバーしているのに加え、何と私が、約20分というこの日一番ルール違反。私の後の5人の発表者の方々に多大のご迷惑をおかけしました。私は、「旅に出る」をテーマにして、小5・6年~中学生向けのブックトークをしました。予定の10分を大幅にオーバーしたように、ブックトーク自体は散々の出来でした。初めてブックトークをしてみて(リハーサルもしなくて)、その大変さが少し分かりました。まだ始めたばかりですが、私自身にとってこのブックトークという方法が、向いているかどうか少し疑問に思えてきました。しかし、今後も、しばらくはこのブックトークに挑戦はしていきますので、この際、私なりにきちんと反省をしておきたいと思いました。

私の反省点を整理すると

* シナリオとその基になる材料とは違うこと。
* 思いを伝えることが主になるのではなく、あくまでも本の紹介をする。
* 全ての本〔3冊〕の要約をするのではなく、思いきってポイントを絞ること。
* 本を開いて、その〔絵〕本を子どもたちと一緒に楽しんでみること。
ex「旅の絵本」―その絵の中の遊びー「かくし絵」「ダマシ絵」「物語の登場人物」などを一緒に探してみるとか。
* 子どもたちが、読んでみたいと思うように運ぶように。(プレゼンテーションの工夫を)
* 紹介する本は、入手がし易いものであること。
* リハーサルは、必ず数回行うこと。〔所用時間の確認を〕

講師からの助言 

 私の反省点にもそれは反映されていますが、その他に、

* ブックトークは、回数を重ねることが必要。勉強の場を。
* そのためには子どもに向けての機会を作ること。通常のお話会でも、その最後に関連する本の紹介を短くするとか。
* 1つのテーマにそって、お話会を皆で準備するとか、その中で本の紹介ができるようにするのも1つの方法。
* こうしたことを第一歩として、1~2年続けて行けば、何とかできるようになるのでは。
* 一人一人のスタイルが違ってもしょうがないこと。自分のスタイルでするしかありません。

最後に、私は… 

 今回の初めてのブックトークは反省することばかりでした。しかし、私は、その準備の過程、シナリオ作りが大変勉強になりました。それにだいぶ時間をかけてしまいました。私はどちらかというと、実際のブックトークをするーこうしたプレゼンテーションのようなことをするより、これまでも<BOOKS>でかなりの数の書評をしてきていますが、文章を書く、シナリオを作る、本のガイド・紹介をする方が得意だ、面白いと分かりました。
                                                   



ブックトーク テーマ   「旅をする」  シナリオづくりの材料 

                                                          2010.12.4   

はじめに

ー物語、とりわけ、幼い子向けの文学には、子どもたちの喜ぶお話に、一つの形式があります。それは、「行きて帰りし物語」(瀬田貞二の仮説―トールキンの「ホビットの冒険」から。トールキンの全体験の中から一つの結びとして出た哲学)であり、人間というものは、たいがい、行って帰るもの。小さい子どもはそれをくり返します。一所にはじっとしていない、何かをする、友のところへ行ったり、冒険したりする。そしてまた帰ってくる。―これ自体が「旅をする」ということでもあるわけです。(参照:「幼い子の文学」瀬田貞二著 中公新書)

 今日、最初の一冊目に取り上げるのは、安野光雅さんの旅の絵本Ⅱイタリア編」(2006年改訂版 福音館書店)です。

 道はどこまでも続き、丘を越え、川を渡り、緑の牧草地を、森や泉、森に鹿、河にマス、…街道を外れたところに人家、集落、そして門をくぐって市(まち)へ入ります。店、広場、教会、城(市全体が城)が、そこは私にとって一つの国。

 そのような、市から市、国から国へ、迷いながら、はるばる旅をしました。あまり困ったときなどは、旅に出たことを後悔するほど、しかし、人間は迷ったときに必ず何かを見つけることができるもの。私は、見聞をひろめるためでなく、迷うために旅に出たのでした。そして、私は、この絵本のような、一つの世界を見つけました。それは、公害や、自然破壊など、誤った文明に侵されることなく、緑のつづく、つつましくも美しい世界だったのです。(「旅の絵本Ⅰあとがき」より)

 1977年、33年前に始まったこの「旅の絵本」シリーズは、文字を一切使わないのに、普通の絵本より豊かな物語を感じ取ることができる作品です。細やかに描写されたイラストは完成度が高く、読むたびにイラストから新たな発見をすることができます。この絵本には一応、旅人という主人公がいますが、フォーカスされることはなく、田園や町の風景に溶け込んでいて、たまに見つけ出すのが大変なページもあるほどです。そんな中に、童話のキャラクター達や、歴史的人物、西洋画のパロディーなど色んな仕掛けが山ほど隠されています。また、普通に暮らす人々の様子も面白く、それぞれの見開きごとに複数の様々なストーリーを読み取ることができます。旅の絵本の視点は全体が見えるように常に斜め上あたりからです。町に暮らす人々や豊富な自然などはどれだけ眺めても飽きることはありません。

「旅の絵本」は現在シリーズで6冊あります。Ⅰ中部ヨーロッパ、Ⅱイタリア、Ⅲイギリス、Ⅳアメリカ、Ⅴスペイン、Ⅵデンマーク、Ⅶ中国〔2009年〕で、まだ日本へは帰ってきていません。〔作者が?〕まだ、2010年の現在でも、安野光雅さんは、旅を続けているのです。

 その中で、今回は、Ⅱイタリア の2006年改訂版 を取り上げます。イタリアのトスカーナの丘陵地帯から始まるイタリアの丘や村や町の風景に、イエスの生涯、さまざまな名画、物語などが隠されています。美しい町並み、そして隠された遊び絵の発見! 映画からの登場や、絵の中の遊びーかくし絵、ダマシ絵、ANNNOの文字や自分の本の宣伝までも出てきます。私は、仕掛けられた謎を解くのに、時間を忘れ没頭してしまいました。

 この<イタリア編>は1978年に初版が出版されました。ところが、それ以降の同シリーズとは印刷・製版方法が違っていたため、色の鮮やかさにやや欠けるところがあり、全画面を着色しなおし、より美しくて、より楽しい「改訂版」として生まれ変わりました。さらに、巻末に作者自身による解説(2004年のⅥデンマークから、2009年のⅦ中国にも入っている)が新たに加わっています。それについて安野さんは「解説は全部したわけでなくて、読者のみなさんが見て自分で考える所もたくさん残してありますので、見たり考えたりしてください。」といっています。〔2006年「「旅の絵本Ⅲあとがき」より)この解説を入れた理由は、「作者が死んだら知る人がいないだろうなと思ったから。」だそうです。でも、「答えは教えちゃいけない。」と。「自分で探すもの。一生涯みえなくてもいい。」と本人はいっています。 

 久振りに、この絵本を見た今回、私は、かなり新たに謎解きができましたが、まだまだです。時間をおいて、この絵本を見た時、また、新たな発見ができるかも知れません。小さい子でも、それなりの発見や、大人では見つけにくいものを見つけるかもしれません。それぞれの年齢なりに、知的で、楽しい発見ができ、それが経験を積み重ねていくにつれ増えていくような、ずっと楽しめる絵本なのです。私は、実は、イタリアには、丁度、一年前に旅行しました。このシリーズは、まだ私たちが、行ったこともない世界各地の町、国に連れて行ってくれます。と同時に、そこへ行ったことのある人にとっては、それを確認する、もう一度旅をすることになるものです。

 二冊目は、宮崎 駿さんの「シュナの旅」(1983年初版 徳間書店)です。絵本というより漫画に近いような短い文庫本の絵物語です。チベットの民話「犬になった王子」, をもとにしているそうで、「風の谷のナウシカ」とほぼ同時期に描かれた作品です。水彩の淡い色をいくつも重ねて着色した絵が美しい、手描き絵の良さがよく出た作品です。(確かナウシカの方にもそうしたものがありましたが)

 作物の育たない貧しい国の王子シュナは、大地に豊饒をもたらすという「金色の種」を求め、西へと旅に出ます。つらい旅の途中、人間を売り買いする町で商品として売られている姉妹と出会います。彼女らを助けた後、ひとりでたどり着いた「神人の土地」で、金色の種を見つけますが…。どんな状況にあっても、生きようとする人間のたくましさ。強い心だけが生みだすことのできる、やさしさ。そして、弱さと無力さ。宮崎さんは、短い物語のなかに、そんなものを、ただそのまま描き出してみせています。

 ヤックルやラムダ、辺境の国、深い谷。その後の宮崎 駿作品にかかせない要素が数多く登場しています。神秘的でありながら牧歌的でもある、まさにその後の作品の原点ともいえる本のようです。映画化されていないのは、地味だという理由で宮崎さん本人が却下してしまいました。この物語の中の設定は、宮崎さんの息子さんの作品「ゲド戦記」に使われているように見えます。〔この作品はイマイチでした。〕

<余談> 1980~90年代に数多くのタイトルをリリースしてきたアニメージュ文庫が、2010年夏、再起動しています。第1弾として7月に『機動戦士ガンダム』関連の4点が復刊。現在リクエスト募集中で、この「シュナの旅」も復刊されるといいと思います。

 物語では、シュナが探している「金色の種―生きている種」。そして、耕す事を止めてしまった人類は、食べるためだけに、種の無い作物の種や作物を、人間の命と引き換えに手に入れます。今、私たち人類が、科学の発達とともに失いつつあるのは、自然の営みであり、この「生きている種」だといえます。現実にも農家は種の多くを輸入し、その種から生きている種を作り出す事は難しく、種を買い続けるように商売されています。原生種も非常に貴重になっています。自然のサイクルから私たち人類社会がはみ出し、それを破壊し続けている。この現在の地球環境の危機―生きている土や水や空気や木々が危ない!-は人類自身の危機なのです。27年前のこの作品は、こうした問題への警鐘としても出されたのだと思います。しかし、今日でもそれが、そのまま色あせないで、訴えるものがあるのは、作品が優れているのと同時に、あれから、私たち人類がそれほど進歩していないともいえます。

 物語の最後は、「シュナの旅はまだ終わらない 谷への道は遠く 困難はつづくにちがいない…」となっています。「行きて帰りし物語」のように、本当は、最後、谷に帰らなくてはならないし、そうでなければ、旅は終わらないのです。それは、まるで現在の私たち、人類が置かれている位置、の「旅の途中」をいっているようでした。

 三冊目はブラジルの作家、パウロ・コエーリョの「アルケミストー夢を旅した少年」(1994年初版 地湧社)です。世界22カ国で読まれているベストセラーです。

 アルケミストとは、錬金術師のことです。しかし、錬金術のことが出てくるのは物語の半ばからで、そして実際に錬金術師が登場するのは3分の2までも行ったところです。最初の3分の1までは、読んでいて少しじれったいような、なかなか読み進められない、時間がかかってしまっている展開になっています。しかし、途中、真ん中ほどから、グイグイと物語に引き込まれていき、それから最後までは、あっという間にハイスピードで一気に読んでしまいます。

 物語は、主人公の羊飼いの少年サンチャゴは、スペインのアンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出かけるところから始まります。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じてです。それまでの長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて、少年はピラミッドを目指す運命を実現する冒険の長旅の中で、旅のさまざまな出会いと別れが続き、ついに、アルケミスト(錬金術師)に出会います。

 ストーリーは淡々と押し進められるものの その主人公が遭遇する状況は、砂漠の太陽の照りつき、石の温度、草のにおい、風で巻き上げられた砂ほこりの不快感など。まるで自分自身がその場にいて、体験しているように感じられます。

 そして、錬金術師が、そこで少年に語る、導きの言葉、その言葉は、私たちが日常生活で忘れかけていた大切な言葉の数々が散りばめられており、恐ろしいほど読んでいる者の頭の中にすっと入ってきます。
「自分を縛っているのは自分だけ」
「傷つくことを恐れることは、実際に傷つくよりも辛いものだ」
「未来は神に属している。」
「人が何かを望むとき、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助けるのだ」
「前兆に従うこと」など。 
 そして、少年の心はというと
―偶然なんてどこにもなくて、人は、自ら望んだ道を歩いているのだということ。
自分の運命を発見した時、その人が歩く道の途中には、様々な前兆が待っていて、それに従う限り、人は、その人を待つ宝物に近付くということ。
―などということを獲得して、人生の知恵と勇気を学んでいくのでした。

 さて、ここで、最後に、最初に述べたこと、「行きて帰りし物語」のことに戻ります。この、夢を旅した少年サンチャゴの物語の結末―エピローグは? 宝物は、最後に見つかったのか?それは何だったのか? 確かに、最後の最後、少年は、この長い旅の出発点―スペインの平原に、また帰って来るのです。その意味では、これは、「行きて帰りし物語」になっています。それでは、この?は、…これに私が、答えて、話してしまっては面白くありません。

 そこで、ヒントを出します。それは、イギリスの民話「スウォファムの行商人」(ジェイコブス作「イギリスとアイルランドの昔話」福音館書店 の中に)及び、日本の民話「みそ買い橋」(木下順二作「わらしべ長者」岩波書店 の中に)と同じような内容、文体、「語り口」なっているということです。このヒントも、少し難しかったかも知れません。そこで、これらのお話も、面白いですので、短いですし、機会がありましたら、是非、読んでみてください。

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<子どもの本シリーズ15>

<子どもの本シリーズ15>               2010.11.28

ストリーテリング勉強会(11/28)での発表  

(NO.28) かにむかし

わらしべ長者―日本民話選 (岩波少年文庫) 木下 順二 (著) 赤羽末吉(画)より

<内容の紹介> (出版社の紹介より)

 むかしむかし、かにが浜辺に出たところ、砂の上に柿の種がひとつぶ落ちていた。かには喜んでその種を家の庭にまき、毎日毎日せっせと水をかけ、こやしをやっては「はよう芽を出せ柿の種、出さんとはさみでほじり出すぞ」と唱えた。すると、ほじり出されてはたまらないと思った柿はやがて小さな芽を出した。かにが熱心に世話をして、柿の木は大きくなり、たくさんの実をつけたそう。それを見ていたのは山の上のさる。さるはさっそくやってきて、かにに話しかけた…

 おなじみ『さるかに合戦』の物語。墨絵を想起させるイラスト(絵本は清水 崑が絵)が、日本情緒たっぷりに、このよく知られた昔話を描きます。かにとさるの会話は、方言まじりの温かい響き。「かにどん、かにどん、なにを しちょる」とさるが尋ねれば、かには「おら、やっと柿の実が熟れたで、はようはい登って もごうと思うが、気がせくもんで……」と言った具合です。

 意地悪なさるをこらしめようと一致団結するのは、かにの子供たちと栗、蜂、臼に、はぜ棒と牛の糞。この一団がさるの家めがけて進む道中は、がしゃがしゃ、ころころ、ぶんぶん、ぺたりぺたり、とんとん、ごろりごろり……と大騒ぎです。次々と仲間が加わり、擬音語がにぎやかになっていくところが楽しいですよ。

<お話のリストー東京子ども図書館>の紹介より

 言葉のひびきがとてもいいので、幼児向きの話だが、年齢を問わず多くに子どもに喜ばれる。
はじまりは、特色のある語り口を生かして、思いきってゆったりと。柿の種や、芽に話しかけるカニのことばは、まをとって、うたうようにていねいに。

 カニがサルに殺されるまでと、子ガニが親の仇討ちをするまでと、話が二段に分かれているが、前半にあまり力を入れすぎぬよう、じょうずにバランスをとって、みんなでサルをやっつけるクライマックスで、いちばん話が盛り上がるようにもっていくこと。最後のパンパン栗がはね返ってから、臼が落ちてくるまでは、一気に語りぬけるように、充分練習したほうがよい。

 聞き手と呼吸が合うと、子ガニと、パンパン栗や蜂、牛の糞とのやりとりなど、とてもたのしく、最後にサルが「平とうへしゃげてしもうた」ところで、大満足となる。

<はじめて人前で、話してみて>

 大きめの絵本(清水 崑の絵)を子どもたちに読み聞かせたことは、何度もあるのですが、ストリーテリング(す話)でするのは、はじめてでした。かにむかし、さるとかに、さるかに合戦、とかなりな数の絵本、それにそれらのもとになっている各地の昔話があります。それらの全てに目を通してはいませんが、おはなしでするのなら私は、これがベストだと思っています。

 元々は劇作家の木下順二氏は、佐渡の昔ばなしを元にしてこの「語り口」を非常に大切にした民話を書いたようです。そして、この単行本の「わらしべ長者」(現在は岩波少年文庫で)の内容と絵本の内容とでは、細部が少々異なっているところが何ヶ所もあります。そのいきさつはよく分かりません。そして、絵本の方の難点として、最後にサルが痛めつけられるところで、絵だけの見開き場面が先にあって、文章は次のページになってしまっているところがあります。リズミカルなこの民話の「語り口」を充分に生かすには、やはりこの作品はストリーテリング(す話)に限ると思います。

  さて、私が話した結果は?、1ヶ月くらい前からコツコツと準備をしてきましたが、まだまだでした。前半のカニのしぐさの繰り返しでダブってしまったり、(途中で修正しましたが…)擬音語の1つを間違えて(頭からすっ飛んでしまい、シラを切って別の言葉でごまかした)その2回目に修正したりと散々でした。しかし、後半は気を取り直し、最後のクライマックスにもっていくまでノーミス、それに一気に勢いよくでき、話は盛り上がりました。所用時間は10分でした。目安は10分ということです。ですからそれで良さそうですが、前半をもう少し、丁寧に、正確にやり切って、結果が、10分~12分にすべきだと思いました。

 それにしてもこの話しをするには、かなりのエネルギーが必要です。子ガニと、脇役のパンパン栗や蜂、牛の糞とのやりとりも練習中にはもう少し特徴付けてできたのですが、本番では少しトーンダウンしてしまいました。今回は、お話しするイメージは、だいぶ膨らませて臨むことができたのですが、まだ充分に生かされていません。体調を整えて臨むことも大切だということも、今回よく分かりました。完成までにもう少しのところまできているので、再チャレンジをし、それを子どもたちの前で、できるところまでもって行こうと思います。

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<子どもの本シリーズ 14> 

<子どもの本シリーズ 14 >                2010.11.9

このシリーズは2008年8月より始まり、同年11月に勉強会、講演会等の様子などと「対象を私自身が担当したものと、講師が取り上げたものだけに限定」して取り上げてきています。2010年2月の<シリーズ13 NO.27>を最後に、お休みが続きましたがまた再開します。今回は、2010年11月6日に開催された 平成22年度 ブックトーク連続講座の第1回「ブックトークの実演と講話」からです。

ブックトーク連続講座  第1回「ブックトークの実演と講話」

日時:2010年11月6日 午前10時~12時

ところ:栗原市立図書館 2階 視聴覚室

講師:高梨 富佐(たかなし ふさ)氏(東北福祉大学兼任講師 富士大学司書講習講師)

<講師の高梨さんについて>

 小牛田町近代文学館(現・美里町小牛田図書館)の開館時(20年前)から勤務。町村合併に伴い美里町南郷図書館の開設にも携わる。この3月に退職し現職に。

 個人的にも、栗原市立図書館の前身―築館町立図書館開設前後からお世話になってきています。ですからもう10年前ぐらいからの知り合いです。何回も小牛田にお伺いして児童サービス・図書館サービスについて見学やアドバイスを頂いています。

<講話の内容> 

0) はじめに
1) ブックトークの目的
2) ブックトークの実演「鳥たちのくらし」
3) ブックトークの方法
4) ブックトークするための準備
5) プログラムの組み方
6) 第2回の実習にむけて

0) はじめに ブックトークとは

本について話すこと

一般的には一つのテーマにそって、数冊の本を順序良く紹介することで、学校で特に有効な手法
年齢が関係するので学校の方が最適、美里町では95%が学校へ出向いて行って(毎年10~12月に週に1~2回全ての小・中学校に)、5%が図書館で

1) ブックトークの目的

・ 子どもたちは本の情報をあまり持っていない。

・ どれがおもしろいか選択するのが難しい。“おもしろい”ということがよく分かっていない。

ブックトークをすることで

① 本の世界を広げてあげる

② 地味で目に付かない良書を紹介する

③ 探している本にたどりつくようにする

④ 本の世界への興味を起こさせる

司書向けの「児童サービスの目的」と同じですが

 経験の少ない子どもたちに、まず本の存在を知らせる。本は楽しい、読書は楽しいと感じるような体験ができるようにする。読書習慣を身につけ、生涯楽しめるよう成長するよう促す。

同じく司書向けの「司書の役割」〔図書館等の職員の役割〕から、

 「子どもと本を結びつける」!!のが使命、仕事です。

その「子どもと本を結びつけるための仕事」として

① わらべうた、おはなし ②絵本の読み聞かせ ③ブックトーク ④ブックリストの作成 があります。

2) ブックトークの実演「鳥たちのくらし」 (4~5・6年生向き)

 紹介した本
 
① 「牛をかぶったカメラマン」レベッカ・ボンド/作 福本 友美子/訳 光村教育図書
   
  1995年世界で初めて鳥の巣の写真集をつくったはなし。

 ② 「鳥の巣の本」鈴木まもる/作 岩崎書店
   
  日本のものでも… これは絵図鑑 絵の方が見たいところを描くのでかえってよく分かる。この時分、冬になると木の上の巣が見えてくる。

 ③ 「かわせみマルタン」リダ・フォシュ/文 フェードル・ロジャンコフスキー/絵 石井桃子/訳・編 童話館
  
  文の多い絵本(絵の多い児童書?)マルタンとマルチーズのおはなし、変わったかわせみの巣に興味がわく。

 ④ 「かもさんおとおり」ロバ^ト・マックロスキー/ぶんとえ わたなべしげお/やく 福音館書店
   
  アメリカ・ボストンを舞台に実話に基づいた大型絵本、かものマラードさん夫婦の巣作り、子育てをおまわりさんのマイケルさんたちが助けるおはなし。全部読むと14~5分かかる。

 ⑤ 「どこ いくの?」高田 勝/文 叶内 拓哉/写真 福音館書店 
   
  本の中を開いてみて初めて内容が分かる。日本に来る渡り鳥の写真集。どこから、どこへ…
    同じように最近出た絵本 「わたり鳥の旅」樋口広芳/作 重原美智子/絵 偕成社 

 ⑥ 「みやぎの風にのって」 日本野鳥の会宮城支部・宮城県・編 宮城県 
  
   海の上でどうして宮城がわかるのかな?途中で全く休まずにやって来るなんて凄い!

 ⑦ 「翼の折れたマルティス」戸島 潤/作 蕪栗ぬまっこくらぶ
   
  ガンのマルティス家族のおはなし。子ども向けなのにルビがないのが残念。沼とそれを保護する人間の紹介、続編が2冊出ています。

  宮城県にはラムサール条約に入っているところが3ヶ所(伊豆沼・内沼、蕪栗沼、化女沼)もあり、ガンの90%やってくるガン王国。日本全国からそれを見に来るのです。これらの本のどれでもいいですから是非読んで見てください。そして、読んだら是非、鳥たちの暮らしを自分の眼で見てみましょう。本当は、早朝、水面から一斉に飛び立つところが一番凄いのですが、夕方5時くらいに沼に帰ってくるところを見に行く(家族に連れってもらう)のもよいでしょう。
  
3) ブックトークの方法 4)ブックトークするための準備 5)プログラムの組み方

1、 テーマを決める

① テーマに関連した本を、できるだけ幅広く集める

・ レビュースリップをみて適当な本を思い出す
・ 書架を歩き回って、アトランダムに本を抜き出していく

② 取り上げる本を選ぶ(5~10冊)

・ 自分が好きな本を少なくとも1、2冊入れる 好きな本について語るとき、本に対する思いが自ずからでてくる
・ 良い本なのに子どもになかなか手に取られない本を取り上げる 勧めなくとも子どもが必ず手に取るものは特に取り上げなくとも良い
・ できるだけバラエティにとんだ組み合わせで 小説だけでなく、民話、伝記、詩、ノンフィクションや読み物以外の本も

③ 構成(どういう順序で紹介するか)とテクニック

・ どういう紹介の仕方が効果的かを考える
・ 中心におく本(一番すすめたい本)を決める
・ 1冊1冊の本の紹介が途切れないようにつなぎを工夫する

2、 とても紹介したい本があるとき

① 紹介したい本を核にして、他の本を抜き出していく

② どんなテーマの組み立てが可能かを考える

③ テーマが決まったら、紹介する本を決める

3、 準備しておくこと

① 紹介するリ本のリストを作っておく

② 読むところ、引用するところには、付箋をつけておく

③ 本以外に必要な資料や小道具などがあれば準備しておく

④ 場所があれば紹介した本を順に展示できるスペースを用意しておく (必ず事前に会場のチェックを)

4、 実演で注意すること

① 紹介する本は手に持ってみせる

② 自分の感想や、作者のエピソードなどもいれる

③ 本は正直に紹介する…「字が細かい」とか「最初はたいくつだ」とか

④ 子どもとのやりとりも大事にする…一方的なしゃべりではきいてもらえない

⑤ クイズや遊びを入れるのも良い (但し、パフォーマンスをするのは本の紹介に役立つように)

⑥ 実物を見せたり、実演したりするのも子どもの興味をひける

  補足1 「ブックトークをする前にしておかなければならないこと」
(司書向けの「ブックトークの意義」より)

① できるだけ多く子どもの本を読む(ノンフィクションも)

② 自分になりに読んだ本を評価する(記録を取る)

 ABCと自分の中でランクをつける、○年生向きかも、
これは、後からなかなかちゃんと見ないけれども、書いていくうちに考えるようになる。作業をするうちに頭に残るようになる(習慣化)(高梨さん自身もそうだということでした)

③ 書評に目を通す習慣をつける

④ 本の内容を短く(200字位)まとめて紹介する練習をする(推薦の文を書く)

  若い司書にはこれを仕事としてやらせるー書いているうちに出来るようになる、余程のことがない限り採用する。  

⑤ 自分自身が広く社会に興味を持つようにする  

⑥ 子どもの世界に興味を持つようにする  
 
補足2 子どもの読書と棚揃え…たき火に例えて

* 大人は子どもたちに質が高く、感動を与え、考えるきっかけとなる本(良書)を読んでもらいたいと願っています。しかし、太い薪(良書)に直接火を着けるのは難しいのです。

① 焚きつけ(軽い本)

 キャラクターものやゾロリなどディズニーも
 焚きつけは直ぐに火が点き炎を上げるが、直ぐに燃え尽きるのでエネルギーにはなりにくい。燃え移るところに力がある。

② 軽い枝(多読の本)

 「わかったさん・こまったさん」などの多くのシリーズよみものなど
 焚きつけより火持ちは良いので、たくさん燃やせばエネルギーになり、お湯ぐらいは沸かすことができる。熾きとしての力は弱いが、太い薪に火を移す力がある。

③ 太い薪(心に残る良書)

 太い薪に火が移ると、長い間燃え続け、大きなエネルギーになり、料理や暖房ができる。炎がなくなっても熾きになってエネルギーを保ち続け、かなりの時間をおいても次の枝や薪に火を移すことができる。

    ブックトークでは、1クラス(30人ほど)で1~2人はこちらの狙ったところ〔良書〕へダイレクトにいってくれる。しかし、大半の子どもはそうはいかない。そこでどうしても③太い薪だけでなく②細い枝も必要に。①の焚きつけはいらない〔あえて大人が紹介しなくとも良い〕②と③を組み合わせていく。 


6) 第2回の実習にむけて
  

課題:①お母さん ②ともだち ③旅をする (どう解釈してもかまわない)

   課題の中から1つのテーマを割り当てます。学年は自分で設定のこと。
   次回〔12月4日〕までに3冊の本を選び、ブックトークができるようにしてきてください。1人5~7分で、全員に実習していただきます。

 <質疑応答から> 

 みんなの意見が聞ける環境があることが大切です。 

  美里町の場合、小・中学校にいく意義を確認しあっています。学校の先生は自分1人の力でしますが、図書館では集団でします。みんなが読んだものを教えてもらい、7~8人いれば相当の量になります。それぞれが興味を持つ分野、得意分野があり参考になります。1年を通じてブックトークできるようにしておかなければならないのですが、なかなか課題にならない限り読みません。ですからこの時期〔10~12月〕夜、みんな家で本読みをしています。

 <私の感想> 

 高梨さんは、最初のブックトークの目的〔意義〕からして、図書館司書向けのレジュメを用いて説明していました。彼女はこの4月よりそういう仕事をしているのだし、美里でも後輩司書の指導もしてきているので納得するのですが…

  そもそもこのブックトーク連続講座は、栗原市立図書館の読み聞かせボランティア及びストリーテリンング勉強会の参加者などから興味があって、図書館に開催を要望したばかりのものでした。しかし、それが直ぐ実現してしまって少し面食らっていたところでした。どうもうちの司書さんたちの要望〔特に高梨さんを呼ぶのも〕でも有ったような気がしてきました。それはそれで大いに結構なことですが。

  このところ私たちも築館地域の学校にも出かけることがポツポツと出てきています。(市内の他地域ではよく学校にいっているグループもありますが読み聞かせ中心でブックトークはしていません。)また、私たちもすぐにこのブックトークができるとは考えられません。受け入れ先(小・中学校)の問題(体制)もありますし…何しろ10年ほど前から(小牛田町時代から)美里の図書館を見てきて、小・中学校との連携に長年、力を入れて取り組んできていることは知っています。ブックトークはその中の一部分です。

  ブックトークをするとなると司書さんたちとの協働作業になりそうに思えてきました。そこで私たちに要求されるのはボランティアといえども司書と同レベルの役割が求められるように思われます。ですから、なおさら、この高梨さんの図書館司書向けのレジュメを用いての説明に、妙に納得してしまうのです。

  その他、印象に残ったことは、「みんなの意見が聞ける環境があることが大切です。」というところです。今まさに、栗原市立図書館の読み聞かせボランティア及びストリーテリンング勉強会のメンバーの間で(それには担当の司書さんも入っている)出来つつあることだと思います。このことは大切にしなければいけないのだなと思いました。

  それから、「記録を取る」ということ。これは、ボランティアの間でも今後大いに改善すると決めていることです。しかし、それより高梨さんの個人的な本音がストーンとストレートに私の心に落ちてきました。いくら記録をつけても、私も、結局後でよく見ていないのです。では何のためにそれをしているのか?ということになります。彼女が言っているように、やはり「書いていくうちに考えるようになる。作業をするうちに頭に残るようになる」のであって、自分自身のためなのです。記録を整理し、ブログに載せたり、それをプリントし配布したりしていますが、それは結果なのであり、目的ではない筈です。しかし、目的でなくともそれを余計に意識してしまっていたのです。格好など付けなくともいいから自分がしたいように記録をつけ、整理すればいいのです。〔大いに反省!!〕ですからこのシリーズの再開となったのです。(この他の課題も今後、順次再開していきます。)
 

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ガルトンのながぐつをはいたねこ

<子どもの本シリーズ13>        
 定例のおはなし会(2月6日)                      
                        2010.2.12
 
ガルトンのながぐつをはいたねこ (―①)

ポール・ガルトン(さく)寺岡 恂(やく)ほるぷ出版 1978年

あらすじ

 ある年老いた粉引き職人が引退し、3人の息子にはそれぞれ粉引き風車、ロバ、プスという猫が遺産として分けられた。三男が途方にくれていると、プスは、「いばらの中でも走れる長靴とひものついた袋を一つください。そうすれば あなたを今にきっと幸福にしてさしあげますよ」というのです。

 そして、プスはウサギを捕まえ、王様に「カラバ侯爵からの贈り物です」と言ってウサギを献上する。それを繰り返して王様とプスが親しくなった頃、プスは三男にある場所で水浴びをさせる。そこに王様と姫が通りがかり、プスはその前に出て「たすけてくれ!カラバ侯爵さま泥棒にあわれた!」と嘘をつく。そうして、三男と王様を引き合わせ、「カラバ侯爵の居城」に王様を招待することになる。プスが馬車を先導することになり、道で農夫たちに会うたびに「ここは誰の土地かと聞かれたら、『カラバ侯爵様のものだ』と言え。でないと、細切れにしてしまうぞ」と言う。本当は、魔法の力を持つ意地悪な巨人の土地だったが、農夫たちは王様に訊ねられると「カラバ侯爵様の土地です」と答える。

 そして、王様は「カラバ侯爵」の領地の広さに感心する。そして、美しい大きな城に着く。これは、巨人の城だったが、プスは巨人をだまして鼠に姿を変えさせ、捕まえて食べてしまう。そうして城を奪い、王様が着くと「カラバ侯爵の城にようこそ」と迎える。

 王様は「カラバ侯爵」に感心し、婿になってくれないか、という。「カラバ侯爵」はその申し出を受けてその日のうちに姫と結婚し、プスも特別の身分にとりたてられ、みんないつまでも幸せに暮らしたということです。

読み聞かせをして 

 2月最初の定例おはなし会は、第2班の担当、めずらしくメンバー4人が全員参加。それも皆さん準備してきたため、事前に調整。私以外は比較的短めのものでしたが、おはなしばかりでは、ということで、1つだけ間に「お弁当箱」の手遊びを入れました。この「ながぐつをはいたねこ」は、10分少々かかるため、最後のトリに。あいにくの大雪の中、どれほど集まるのかと心配していたら、子ども大勢に大人もくわわり、賑やかでした。テンポ良く私の前まで終わったのですが、やはり、残りは10分でした。

 子どもたちは、もう最後で少々飽き始めていましたが、「少し長い話だけど…」とことわりつつ、表紙を見せてタイトルを言うと子どもたちも「しってる、しってる」といって直ぐのってきました。表紙のしゃれた赤い長靴を履いて得意げな表情とポーズを決めた猫のプスはとてもチャーミングです。絵がとてもリアルであり、アメリカン・ポップ的というか、分かりやすく、軽快です。個人的にも大好きです。ガルトンの絵との出会いは、もう十数年前の「あかずきんちゃん」からです。「こんな風に表現するのか!」と驚かさせました。次が「3びきのくま」。定番になっていたロシアのとは、全く感じが違っていました。ガルトンは、何でも定番を覆してしまうのだと思いました。だから、この絵本も「ガルトンの…」とついても全く私的には不自然でないのです。この絵本は、ひらがなの連続で読み手としてはとても辛いものがあります。でも、子どもたちがとてもインパクトのあるこの絵によって、物語の中へグングンと引き込まれていって(私のそれなりに声を変えたり、テンポよくしたりして)とても喜んでくれるので、やりがいがありました。

 長いはなしですから、限られたページ内に収めるには、1ページ内にコマワリが3つが1ヶ所(3人の息子への財産贈与の場面)、2つが2ヶ所(これは見開きで2ページにわたり4コマに。―プスが次々に王様に贈り物を届ける場面)あります。いずれもそれほど不自然さはありません。逆に見開きの2ページ分を使った場面が内表紙をはじめ9ヶ所もあります。構図や絵の中の配置がよく考えられていて、とても、ダイナミックで、絵が生き生きしています。デザイナーであったことが関係しているかもしれません。

ガルトンについて

絵本のたまご にガルトンの紹介が載っていたので引用させてもらいます。

 1914年、ブタペスト生まれのPaul Galdoneは、1928年にアメリカへ移住。アメリカで工業デザインを勉強した後に出版社に勤め、その後絵本作家になる。第二次世界大戦の退役軍人でもある彼は、1986年に亡くなるまでに300冊以上もの絵本を手がけたコールデコット オナー賞受賞イラストレーター。注:1907年生まれで1921年にアメリカに移住したとの説もある。

 さらに詳しいガルトンのことを個人的にも知りたいと思っています。

シャルル・ペローとその童話について

 このことについては、やはり無難なところでは、Wikipediaで、
長靴をはいた猫 を参照することになります。さらに付け加えるなら、この後の④でこの絵本の文を書いている末松氷海子さんが、最後に解説をしているところから引用させてもらいます。

 「この物語は、シャルル・ペローが1697年に、「過ぎし昔の物語と教訓」と題してまとめた昔話集のなかの一つで、現代は「ネコ大将、または長ぐつをはいたネコ」といいます。…

 シャルル・ペローは、時の政府に仕えた貴族で、学者としても有名でした。年をとってから、各地に語りつがれた昔話
を集め、それをもとに自分で再話し、教訓を添えて刊行したのが、この昔話集です。これは「ペロー童話」として現代まで読みつがれてきました。

 「ペロー童話」の特色は、簡潔な表現やリズミカルな口調だけでなく、昔話のなかに、十七世紀の風習や思想をもりこみ、新しい時代のいぶきも感じさせたことといえるでしょう。この「長ぐつをはいたネコ」にも、親の遺産より知恵や器用さのほうが役に立つという、当時の新しい価値観がうかがえます。…」

他の「長靴をはいた猫」との比較

② 長ぐつをはいたねこ ハンス・フィシャー(ぶん・え)矢川澄子(やく)福音館書店 1980年
③ グリム童話より 長ぐつをはいたねこ スベンシー・オットー(え)矢川澄子(やく)評論社 1995年
④ 長ぐつをはいたネコ シャルル・ペロー(原作)ジュリアーノ・ルネッリ(絵)末松氷海子(文)徳間書店2000年

②は、原作は、シャルル・ペロー(フランス1628~1703年)の1697年作品からのもの。奥付を見ると、ハンス・フィシャー(1909~1958)は、スイスのディザイナー・版画家です。この作品自体は、1966年に出たようで、日本での福音館書店から出たのが1980年のようです。矢川さんの訳も「長男」を「総領」としているようにいかにも古い。①も④も「いちばんうえのむすこ」同じ矢川さんの③でも「長男」です。ハンス・フィシャーのえも版画家らしいものですが、分かりづらいところもあります。えの場面展開とぶんが合わないところもあります。

③は、もともとのペローの作品を100年以上後にまとめられたドイツの「グリム童話」初版からのもので、とことどころのやくが違っています。ねこの結末も「総理大臣」となっています。文章も、同じ矢川さんの手によるものですが、時代が違ってか、現代的に分かりやすくなっています。スベン・オットーはデンマークの画家で、とてもやさしい色彩、筆遣いのえとなっています。

④は、え自体がグリム童話をもとにしているが、文章はフランス語版は、ペローのはなしのとおり、英語版、ドイツ語版では、グリム童話を元にとそれぞれで、末松さんは、読みやすさを心がけ再話したとしています。出版が一番新しく、子どもにも読みやすいものになっています。ジュリアーノ・ルネッリ(イタリア1966~ )のえは、イラストレーターらしく、現代的でスマートで、洗練された美しいものになっています。

 栗原市立図書館には、①と③、④さらに、馬場のぼる、飯野 和好の絵本がありました。②は、県図書館より取り寄せました。

①は1997年時点で28版ですから、よく読まれている方だと思います。これらの中では、やはり私にとっては、①の「ガルトンのながぐつをはいたねこ」がベストです。

 ところで 読みくらべ絵本 岐阜図書館「ながぐつをはいたねこ」 によれば、「ながぐつをはいたねこ」は、32冊もあるということです。飯野 和好はここにも入っていないので、さらにもっとあるということでしょう。ここで取り上げたのは、ほんの一部ということです。

さらにもう一冊、

 1973年に出ている「長靴をはいた猫」 片山 健 (イラスト), 澁澤 龍彦 (翻訳)というのもありました。これは、
松岡正剛の千夜千冊「長靴をはいた猫」 というブログも見つかりました。ここで、この本を取り上げています。ここでの長靴猫とペローについての考察が面白いのです。

 中世ヨーロッパにおける「所有権」「財産贈与」、「執事」そして、「執事猫」=プスであり、ペロー自身でもあるといった考察です。
 
 ここまでくると、子どもの本といっても、なかなか奥が深いものがあります。まだまだ調べたりませんが、今のところ、このあたりで一応、止めておきましょう。また、何か分かったら、記事にするかもしれません。

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