触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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「放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク」から6月例会のご案内

<原発・環境・エネルギー問題>    2016.6.1

 「放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク」から6月例会㊷のお知らせ 

「情報共有」「学習」「つながり」「交流」の広場
 
 
 とき:6月11日(土) 午前10時~12時   資料代500円
 
 その後、希望者で12時30分~2時30分ごろまで、「吉田さんを囲む会」を昼食(お弁当500円を当日朝までに注文のこと)をとりながら行います。

 場所 : 栗原市市民活動支援センター多目的室
  (栗原市築館総合支所2階)(栗原市築館伊豆2-6-1 ℡:0228-21-2060)

吉田 由布子 (よしだ ゆうこ)さん 講演会
「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク事務局長

演題
チェルノブイリ 30 年、福島 5 年、 放射能汚染が未来世代に及ぼすもの

女性(研究者)の視点から、 チェルノブイリから福島原発事故を見つ める。

 今年は、チェルノブイリ原発事故から30 年、福島原発事故から5年になります。
 チェルノブイリ周辺 では、今もなお健康被害は続き、福島でも(日本でも)同じような様相を示し始めています。
  講師にお招きする吉田さんは、チェルノブイリ事故直後から現地を訪れて調査・研究を続け、現地の専門家とも共同の研究を進めてこられま した。
 子供の甲状腺がんのみならず、成人のがんやがん以外の疾病の多発、とりわけ女性の被ばくによる次世代への影響等について調査され ています。
  事故 5年後に作られた「チェルノブイリ法」が、国家の責任として「原発事故後の市民の社会的保護」を規定していることに学ぶ必要がある と、吉田さんは各地の講演会等で訴えられています。
 チェルノブイリと比較して、誰が「被災者」なのかも不明なままに放置され、わずかな住宅 支援等も打ち切り、帰還を強要している政府の政策を批判しています。
 4月中旬からウクライナを訪問されました。最新の状況についてもお話し ていただきます。
 講演を通じて、チェルノブイリの現状を学び、福島原発事故を見つめなおしましょう。

 そして、この放射能汚染が未来世代に及 ぼす影響について、女性(研究者)の視点から言及していただきます。
 今、私たちが直面する課題は、原発事故処理、健康被害、復興・帰還、除染・核廃棄物、原発再稼働等、多岐にわたっています。それを
① 私たちがどのような社会に生きたいか(価値観)から、
② 福島原発事故全体や、原発災害の危険性(廃炉、再稼働等、前述の課題と同じ)など全体の把握と
③ 数年、2~30 年、50 年、100 年先までなど見据えた時間軸の把握を 行いながら、議論を積み重ね、整理してきました。
そして、その中から方向性を見出せればと考えています。
 それにしても、これら全ての問題の根底に、共通して困難性、壁としてあるのが 「被ばくの影響の軽視ということです。
  吉田さんは、その著書の中で、現代社会の放射性物質をはじめ化学物質が生態系(外と内の)を破壊している現状は、現代世代が未来世代 の生命に関わる抑圧関係を、より強める方向にある=現代世代が未来世代への「戦争」を仕掛けているとしています。それを回避するために 「女性の生殖健康」「子ども達の健康被害」などを女性(研究者)の視点から見てこられています。
 今の日本(世界にも)に充満する、「被ばくの影響の軽視」、その壁を打破するのに、この視点は、極めて重要です。

吉田由布子さんの著書
『未来世代への「戦争」が始まっている-ミナマタ・ベトナム・チェルノブイリ』(岩波書店2005 年) 『放射能汚染が未来世代に及ぼすもの-「科学」を問い、脱原発の思想を紡ぐ』(新評論2012 年)(いずれも会の代表であった綿貫礼子さんとの共著)など




 この月例会は、基本的には、何かを決定する場ではありません。一人一人が、話したいと思うことを、自由に、活発に出し合い、耳を傾けます。その中から、その人―個人と、関係する組織・団体・グループなどがあれば、そこでの方向性が出せればと考えています。

 是非とも、ご参加下さるよう、ご案内申し上げます。

(連絡担当 佐藤 茂雄 fa43725@yb3.so-net.ne.jp  TEL・FAX0228-22)

1、8月はお休み、7月は8日(土) です。

「 放射能から子どもたちを守る栗原ネットワーク 」の 連絡先/本田敏夫 TEL・FAX 0228-23-7707
E‐mail gsbjj525@yahoo.co.jp ブログ http://kuriharasimin.blog.fc2.com/

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「放射能汚染が未来世代に及ぼすもの」「科学」を問い、脱原発の思想を紡ぐ を読んで

<BOOKS>
「放射能汚染が未来世代に及ぼすもの」「科学」を問い、脱原発の思想を紡ぐ を読んで                                                     
2016.4.24  佐藤 茂雄

発行 /2012.3.1  新評論

著者紹介
綿貫礼子[ワタヌキレイコ]サイエンス・ライター。専門は環境学、平和研究、エコロジー。東京薬科大学卒業。「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク代表。2012年1月30日歿。「女性にとって原発とは何か、廃炉に向けて」「未来世代への「戦争」が始まっている」
吉田由布子[ヨシダユウコ]千葉大学教育学部卒業。「女性ネットワーク」事務局長。「ピルの危険な話」「原爆調査の歴史を問い直す」
二神淑子[フタガミキヨコ]愛媛大学卒業。キエフ大学大学院国際関係学部修了。「女性ネットワーク」副事務局長
サァキャン,リュドミラ[サァキャン,リュドミラ][Саакян,Людмила С.]モスクワ大学日本語科卒業。「女性ネットワーク」スタッフ。現在、ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社国際放送部門「ロシアの声」勤務(

内容紹介
  2011年3月11日の東日本大震災と共に発生した福島第一原発の事故は、チェルノブイリ原発事故の影響調査にかかわってきた私たちにとって、衝撃以外の何ものでもなかった。しかも原子炉三基が事故を起こしているという現実は信じ難いものであった。事故の規模や放射能の広がりの不明さ、政府の対応、「専門家」という人々が語る「健康への影響は少ない」という言葉……。すべて25年前のチェルノブイリ原発事故後の状況が再現されているかのようであった。
 私たちは、チェルノブイリ事故後に生を享けた子どもたち(ポスト・チェルノブイリ世代=未来世代)の健康状態について20年以上調査研究を重ねてきた。「チェルノブイリの放射線被害は小児甲状腺ガンだけ」という「専門家」の言葉とは裏腹に、さまざまな病気が汚染地域で広がり、「健康でない子どもたち」は増加の一途をたどっている。それはなぜか。原発事故で放出された放射能による生態系汚染は、その生態系の中にある人の身体を汚染し、身体の中にあって内なる生態系ともいえる子宮内をも汚染している。未来世代はその汚染の中から生まれてくるのである。本書ではチェルノブイリの未来世代への放射線の健康影響について、女性の視点で追及し研究を重ね、フクシマ事故の起きたその年にたどりついたひとつの「仮説」を紹介する。同時に、チェルノブイリ事故による子どもたちの健康被害はなぜ世界に伝わらないのか、「国際原子力村」の科学者たちによる健康被害過小評価の歴史を検証し、「公式見解」=「科学」を問うている。
 フクシマ事故は日本のみならず世界に対し、21世紀の「科学」を私たちがどのように選択するのか、意識の変革を迫っているのではないだろうか。本書が未来世代と「共生」できる社会を選びとるための、ひとつの“糧”になってほしいと願っている。(よしだ・ゆうこ)

出版社からのコメント
女性の生殖健康とポスト・チェルノブイリ世代の長期健康研究を踏まえ、フクシマ後の生命と「世代間の共生」を考える!

目次
1章 生命と健康―「科学を問う」ということ
1 自分史から―「科学を問う」ことを学ぶ
2 生命の視座 「未来世代」から今日を読む
3 生態系汚染と生殖健康(リプロダクティブ・ヘルス)生殖健康と環境ホルモン
4 「生態学的安全」を問う
2章 放射能汚染が未来世代に及ぼすもの
1 チェルノブイリの未来世代に何が起ころうとしているのか―手探りの調査から「仮説」までの研究アプローチ
① 1986年から(研究の初期)-何もかも手探りから始まった。
② 1990年代半ば以降(研究の二期)-発想の転換、化学物質による生体反応との比較 化学物質の「低用量効果」と放射能の「低線量効果」/化学物質と放射線の複眼で考察する
③ 21世紀に入る頃から{研究の三期}-生殖健康に関わるロシア語文献の調査に努める
④ ヒトの健康影響についての新しい知見や概念の展開期
a低線量放射能による遺伝的不安定性―遅延型突然変異とバイスタンダー効果
b生殖と健康に関わる21世紀の新しい概念―エビジェネティクスと「胎児期起源の疾病と健康」
⑤ 2003年以降―国際会議で提起したこと
2 仮説 ポスト・チェルノブイリ世代の非ガン疾病増加に対する放射線影響
 -エビジェネティクスの観点から ポスト・チェルノブイリ世代の健康問題を追跡調査
① ポスト・チェルノブイリ世代―「健康でない子どもたち」の継続的増加
② セシウム137汚染地域における、内部被曝による女性の生殖健康の悪化
 a生殖健康の悪化―臨床面から/b胎盤、母乳から検出されたセシウム137/C性ホルモンの分泌変化と体内セシウム量/d継続する内部被曝/eセシウムの体内分布
③  思春期に被曝したのち、汚染地域で生活する女性の生殖健康
④  子宮内でのエビジェネティクスな変化を介した「胎児期起源の疾病と病気」
⑤ まとめー私たちの仮説
⑥ 私たちの仮設の意味すること
3章 チェルノブイリ健康研究からフクシマを問う
1 チェルノブイリ二五周年国際会議場に飛び交った「フクシマ」の声 「生態学的健康研究」が必要とされている
2 チェルノブイリ事故の衝撃と女性たち フィンランドの女子学生立ち上がる/チェルノブイリは、東西の「壁」を超えた
3 「国際原子力村」はチェルノブイリ事故の健康影響を如何に評価してきたか 原子力村―とりわけIAEA(国際原子力機関)について
① 事故直後からーソ連政府とIAEAの蜜月ぶり
② 5周年(1991年)の「健康影響評価」-ソ連政府の対策をIAEAに評価してもらう
③ 10周年(1996年)の「健康影響評価」と「人民法廷」
④ 15周年(2001年)の「健康影響評価」―IAEAとWHOのオカシナ関係
⑤ 2003年、国際会議「チェルノブイリの子どもたち」開催される。
4 告白―私たちが現地調査の中でぶつかった研究上の問題点 
① 子供はいつ、どこで生まれたか ② 持続する生態系汚染の中での「子宮」を問う、③ 何を指標にして放射線の影響を見るか、④ 「公式見解」に見る「原子力村」の陰を問う、チェルノブイリ研究からフクシマを考える。
5 フクシマの現在(二〇一一年一二月)を問う
① フクシマから放出された放射能の行方(海洋・水系への放射能放出量、土壌汚染の広がりが示された、推定された被曝者の広がりと被曝線量、
食品の安全をめぐる論戦
② 「福島県民健康調査」-その問題点を探る
6 まとめ―チェルノブイリ健康研究における二〇一一年の新しい知見と提言)
4章 3・11以後、「脱原発の思想」をあらためて紡ぐ(1原発利用の選択に「倫理」はあるか2モスクワ会議へのメッセージ3私たち世代にとって原発とは何か―生態学的倫理をめぐって4科学文明の転換点に立って、「脱」の新しい思想を紡ぐとき5一五歳の少女の声から)
結 伝え続けたい言葉

<内容の紹介>

1章 生命と健康―「科学を問う」ということ~「生態学的安全」を問う

 今日は「生態学的安全」を問う上で、最先端の重要なテーマとして突き付けられているのは、世代間の「共生」の問題。未来世代から、今を生きる現在世代に対して提出されている「いったい、未来世代の人権をどう考え、どのように生き合おうとしているのか」という強い疑義。
「ヒロシマ・ナガサキ」以後、本格的原子力時代に入り、「人類の共滅」「生命の危機」が問われてきた。生態系破壊のもたらす滅びの道は、時間をかけて起こることが想定。共滅のシナリオには、世代間における倫理に反する行為が含まれることになる。あるレベルの毒物汚染は、遺伝毒性、発がん性、催奇性、胎児毒性を含むような物質の場合、成人より幼い子子ども、胎児、受精卵の方が10倍も100倍もシビアな形で被曝の影響を受ける。放射線被曝のような「文明の負荷」を重ねるということは、そういった形で未来世代に対してより強く生命の危険を与えている。
 生態系の変化は、私たち世代だけでなく将来生まれてくる可能性のあるヒトを含めあらゆる生物の生命にも影響を与える。その生存を支える生態系に対して重大な責務を負っているのが私たち世代。世代間の倫理に基づいて私たちの世代の生き方が問われなければならない。従来の倫理は、同じ世代の人間間の倫理(共時性倫理)。今日では同じ時に生きていない人間間の倫理も(通時的倫理)大事。
-私たちが希求する社会の未来像は、「自然や未来世代の生命を破壊しない」方向へ向かう」社会。「生命とその多様性を高めることを社会の“真の豊かさ”とみなす」社会。

2章 放射能汚染が未来世代に及ぼすもの 

1 チェルノブイリの未来世代に何が起ころうとしているのか
①ポスト・チェルノブイリ世代―「健康でない子どもたち」の継続的増加 原発事故から25年という歳月がたち、セシウム137のレベルは、それなりに減少。にもかかわらず、事故の時、直接被曝したわけでないポスト・チェルノブイリ世代の子どもたちの健康状態がこれほどの割合で悪化している。→女性の生殖健康に対する放射線の影響に注目した。
②思春期に被曝したのち、汚染地域で生活する女性の生殖健康―汚染地域では、女性の生殖健康の悪化がみられているが、最も懸念を深めているのは、事故の時、思春期もしくは前思春期にあった女性たちの健康。従来の放射線の影響を発ガンや催奇形性などにしか注目してこなかった医学の常識とはきわめて異なる視点。セシウム汚染地域に住み続ける女性は、将来母親となる「若年層の女性人口集団」であり、生態学的にも、臨床医学的にも、科学文明史的にも、人類が初めて遭遇する健康問題を抱える集団と捉えるべき。(女性の生殖健康に関する解明が、放射線の内部被曝と未来世代への健康影響にとって重要な視点。)
⑥ まとめ -私たちの仮説 1、セシウム137の体内蓄積による放射線の内部被曝によって、エビジェネティク(DNAの塩基配列変化に変化による変化でなく、遺伝子発現が変わることで起きる変化)な変化が生じる。その結果、女性の生体内でホメオスタスシス(恒常性)のアンバランスを介して生殖の健康が損なわれる。2、その女性が妊娠したとき、胎児は子宮内に蓄積しているセシウムによって被曝し、発生の重要な時期にエビジェネティクな変化が生じ、生後の外的要因(新たなセシウムの外部被曝・内部被曝を含む)に対して非常に脆弱となり、病気に罹りやすい体質となる。
私たちの仮説

3章 チェルノブイリ健康研究からフクシマを問う 

2 チェルノブイリ事故の衝撃と女性たち 
フィンランドの女子学生立ち上がる
約4,000人の女子大生(生物学専攻中心)が1990年まで廃炉を求める。「私たちは「原子力」を生命の連鎖を断ち切るような技術と捉えている。原発の操業を許すことは、とりもなおさず死の灰(=核廃棄物)を生産することにほかならない」(原発の存在そのものが反生命的)
3 「国際原子力村」はチェルノブイリ事故の健康影響を如何に評価してきたか
「放射能の恐ろしさや放射線被曝の危険性に関する公的なあるいは国際的な評価は、核兵器を開発し、それを使用し、その技術を原発に拡張した人々と、それに協力してきた人々によって築き上げられてきた」「放射線被曝の危険性とそれによる被害を隠し、あるいはそれらをきわめて過少に評価することによって、原子力開発は推し進められてきた」(中川保雄『放射線被曝の歴史』)
 ソ連政府およびIAEAやWHO等の国連諸機関内に生じているチェルノブイリの健康影響評価を巡る問題、ひいてはその背景となっている国際政治について、その歴史、時系列に概観するだけでも、「公式見解」「科学的見解」とは何なのを問い、それがとりもなおさず、「科学」を問うことにつながっているのが見てくる。この歴史がフクシマでも繰り返されないよう心しなければならない。(未来世代への「戦争」が始まっている。)
生涯被曝許容線量―70年350ミリシーベルト
 1988年、ソ連放射線防護委員会は、「生涯被曝許容線量―70年350ミリシーベルト」を提示。しかし、1989年になって初めて汚染地図が住民に公開されたこともあって、年5ミリシーベルトにあたるこの基準を拒否。ICRPは、チェルノブイリ事故の前年(1985年)に一般公衆の被曝限度を年1ミリシーベルトに決めたばかりだった。
 「人民法廷」は、IAEAや原子力産業を「有罪」に 
出廷した科学者の証言
・甲状腺ガンのほかにも、甲状腺機能低下症を含む他の甲状腺疾患、および血液の異常、小児糖尿病、免疫系疾患などが多発している。
・妊娠8~15週での胎児被曝により、精神発達遅延が起こり得る。
・多様な先天的異常(手足、目、耳などの先天性身体障害)が発生している。
 人民法廷は、「判決」において、IAEA,各国の原子力委員会、原子力産業を支持する政府を「有罪」とした。
チェルノブイリ研究からフクシマを考える。
① 内部被曝の影響を重視することー持続的低線量被曝、特に生態系汚染を介した内部被曝の影響を重視すべきである。
② 子どもたちへの健康影響をよく幅広く捉えることー放射線の影響について、ガンなど重篤な特定の疾患だけに注目すべきでない。従来の放射線影響の考え方では、汚染地域に生じている幅広い健康影響を捉えられない。
③ 女性の生殖健康への影響を重視することー思春期への注意。次世代の健康影響を視野に入れ、生態系汚染を介しての内部被曝の関係を重視すべきである。
 チェルノブイリの経験から言えることは、まず、実際に起こっている出来事、健康被害の現状を先入観なしに受け止めることが重要。「放射線専門家」が繰り返して述べていた「100ミリシーベルト以下では影響がない」「チェルノブイリでは小児甲状腺ガン以外の健康被害は出ていない」といった偏った予備知識を前提にしては、現実は見えてこない。子どもたちに生じている健康被害の原因について、初めからあらゆる可能性を排除せずに原因を追求しようという姿勢がなければ、見つかるものも見つからない。あるいは、現在の「科学の限界」のために、放射線との関係がまだわからないという可能性も高い。その「あらゆる可能性」のひとつとして、私たちは、仮説を立てました。
5 フクシマの現在(二〇一一年一二月)を問う 
フクシマ事故による汚染の状況については、日々新しい情報が出ている状態が続いている。避難、汚染と除染、廃棄物の本題、ゴミ焼却によって濃縮された放射能を含む灰の処理問題など…
6 まとめ―チェルノブイリ健康研究における二〇一一年の新しい知見と提言)
 2011年4月の国際科学会議の「結論と勧告」―第35項目―低線量被曝の低減と防護に、もっと真剣な注意を払わねばならない。低線量の被曝影響が、しばしば高線量被曝の影響に匹敵することが実証されてきている。原子力施設などの局所的レベル、ならびにチェルノブイリやフクシマ事故あるいは、世界的に放射線のバックグランド線量を高める核実験のような地球的レベルのいずれにおいても低線量被曝の防止と予防システムの構築が、政府、国際機関、世界共同体の最も重要な課題となるべき。
 この国際会議後、「チェルノブイリの医師」協会代表のニャーグ教授と語り合ったこと「日本政府は、フクシマのことを長い間隠す可能性もあります。放射性物質の多くを海に出してしまったから。海洋の汚染は、土壌汚染同様深刻な事態です。この問題はすぐに解決しません。フクシマの放射能による生態系への影響はずっと続くでしょう。そのことを理解する人はまだ少ないです。チェルノブイリは、25年が経っても、まだ問題の多くが解決されてません。フクシマでも長期にわたり続くでしょう。

4章 3・11以後、「脱原発の思想」をあらためて紡ぐ 

1 原発利用の選択に「倫理」はあるか 
私たちのオロカナ選択のもとで原発利用にしがみついていた。その選択は、”今“だけに目線を向け、何らの洞察力も持ち得ずに未来世代を切り捨てている。「共生」という価値には、二つの事象が生きあうとき、その価値を守るには、”為してはならないことがある“使ってはならない科学が存在すること、それを「倫理」として示すこと。
 この地震列島においては、原発が制御不能な不完全システムであること。
 「生態学的倫理」とは、世代と世代との間の倫理を問題にする。現在世代が利用する科学技術によって生態系が汚染され、そのために未来の世代の健康や命が脅かされる。そうした事態がもたれされることがないよう、私たちの世代とこれからの世代との共生にかけがえのない価値を置く科学哲学が求められている。(「生態学的倫理」のもとで「未来のいのちを守るため脱原発を目指す」)
3 私たち世代にとって原発とは何か―生態学的倫理をめぐって
 チェルノブイリ惨事のような膨大な生活圏の破壊では、人類の手持ちの科学を如何に駆使しても、そこで得られる「未来の人類の生命・健康に関する知見」はきわめてわずかしかない。今日の科学技術社会は本来的に、未来世代の健康影響についてのは「解を持ち得ない」状況にある。
 未来からの使者(チェルノブイリ事故後に生まれたが子ども)語っていること 
 彼らが私たちの世代に合流してきたわけで、彼らはこの四半世紀の間、未来について(言い換えると)彼らが受けてきた子宮内での出来事について、身を持って私たちに解き示してきた。(“沈黙”という語りの中で…)私たち世代はそのことを見過ごすわけにはゆかない。…ある種の科学技術には、人類の生き方において“使ってはならない”“為してはならない”ものがあるはず。
 未来の生命・健康を遺伝子レベルにおいても傷つけないことが「かけがいのない価値」となることを希求している。原子力を兵器にもエネルギーにも使わず、膨大な核廃棄物をさらに積み上げるような現代文明から、”降りる“ことを生きる価値として、そのことを”喜び“をもって選び取れるような価値意識の転換が、現在進行形の福島の惨事の只中にあって、今いっそう求められている。
5 一五歳の少女の声から 「私が将来結婚したとき、被曝して子どもが産めなくなったら誰が責任を取ってくれるんですか?」「もっと早く避難を呼び掛けてほしかった」
 フクシマの15歳の少女は、これから生きてゆく上で「自分の目の前で起こっている、“人間の眼”で見るべきこと」を、率直に訴えている。振り返って、私たち大人世代が原子力推進政治を選び続けたのは「見るべきことを見ない、見ようとしない性を持った」世代である。
 遺しておきたい言葉1
5歳のあなたたちの今後の生き方にエールを送ります。最後に付け加えたいことがあります。あなたたちが大学生の年齢に達したとき、もう一度この本を、今後の生き方のひとつの道しるべとして読んでください。本書で解き示したこの2011年段階までの「放射能」問題を、あなた方世代がこの研究を受け継いで…可能ならば、この「女性の研究視点」を受け継いで、医化学方面に進んでくださる方がいれば…

結 伝え続けたい言葉

 「そもそも原子力の使用という文明論的問題と目先のエネルギー問題を同次元において比較できるものであろうか。原子爆弾も原子力発電も、いったん処理を過てば、人類文明は根本から崩壊するから、みだりに使うべきものではない。それはいわば不条理の世界に属するものである。」
 「若い世代、これから生まれる世代は、リスクや放射線量の残留する生涯不健康地に生きていくことになるだろうか」(科学史家 中山 茂)
 過酷な原発事故は、まぎれもなく人災としての「生態学的惨事」を生じさせる。しかし、人間の身体は、従来の医学で捉えられていたような、生態系に対して、独立して閉じている存在ではなく、開放系としてその生態系とつながっている。そして未来世代を宿す子宮はさらなる生態系として、外なる生態系とつながっている。「生態学的惨事」とは、そのような時空を超えて未来の生命にまで影響を及ぼすもの。
 ウランの採掘から核廃棄物処理問題に至るまで、原子力エネルギー(原発)は「民主主義」の理念とは相容れない科学技術と言っても過言ではない。ひとたび「事」が起これば、政治体制や社会体制が異なろうとも、原子力エネルギー(原発)許す社会では、今日的「民主主義」は底の浅さを
呈し、基本的人権すら侵されるようなことも生じ得る。しかもその侵害は、原発使用の選択に何ら関与していない未来世代にまで及び得るのです。本書では、ポスト・チェルノブイリ世代に起きている健康上の問題を」「仮説」という形で提示したが、それを「未来世代からの声=異議申し立て」として受けとめねばならない。
 「脱原発」とは、原子力を減らし自然エネルギーを増やしていくという単なるエネルギー政策上の問題ではない。脱原発を「新しい思想」として根本に据えることは、価値観の転換を意味する。その新しい価値観のもとで未来を設計する中でしか、真の「希望」は生まれてこないだろう。

<私の感想> 

女性(研究者)の視点から未来世代に言及!私たちの価値観の転換が求められています。

 私は、3.11以前は、チェルノブイリや、原発に関しての知識は、皆無に近いレベルでした。ただ千葉時代(45~30年前)に大気汚染問題に関わっていました。それで共通点があるためその重要性にはいち早く判断できました。それ以後は、勉強することの多さに参っている毎日です。
 2013年には、元NHKディレクターの馬場朝子さんの「低線量汚染地域からの報告 ― チェルノブイリ 26年後の健康被害」を取り上げ、そのあとは、OurPlanetTV白石 草さんの「チェルノブイリの26年、28年」を紹介してきました。その理由は、これらの中に出てくるウクライナのコロステン市が、ちょうど栗原市と同じような位置関係にあると思ったからです。そこでの子どもたちの様子がとても気になっていたからです。
 チェルノブイリ事故(1986年)以後、ウクライナで被曝した人の子どもで慢性疾患のある子どもの割合は1992年には21.1パーセントだったが、2008年には78.2パーセントに増加したことは、映像でも確認できていたのです。チェルノブイリ法についてもチェックし、映像で確認できた子どもたちを支える大人たち(特に専門職の女性達)の役割の大切さ、意識の高さに感心していました。それでも何故、チェルノブイリ事故後に生を享けた子どもたちにも健康被害が多いのかが今一つ理解できないでいました。
 3月19日に福島大での「原発と人権」集会で、吉田由布子さんにお会いした時、勧められ、購入するも最近ようやく読破しました。少し前から「未来世代」「世代間倫理」などは、言葉として使用してきましたが、本書で、すっきり納得しました。それに今、宮城県で進められる恐れが強い、仮設焼却場建設問題があります。「燃やすな 放射能!燃やせば 濃縮・拡散・未来へ影響!」と訴え始めているのですが、まだまだ十分に皆さんの間には、浸透していません。この焼却問題を未来世代との関係でどう皆さんの意識に位置付けてもらえるか、これからが本番です。
 本書のメインの綿貫さんとは、面識はありませんが、ものすごい方だとは分かりました。女性(研究者)の視点からの未来への言及には、大変、学ばされるものが多くありました。男性には、十分理解するには限界があるのか(感性も含めて)私の理解は、まだまだ不十分です。そして、本書がまさに綿貫さんの遺書になっていることも驚きました。それで、これをまず、同性の女性達(特に若い世代にも)に紹介し、それと限界があっても、世の男性たちが、これに、どれだけ理解できるかーこれは価値観の転換が求められます。脱原発を「新しい思想」として根本に据えるー価値観の転換には、本書の理解が今後のカギになってくると思われました。


<追記>
この記事は、4月24日に作成・公表し、「放射能から子どもたちをまもる栗原ネットワーク」の5月例会(5月14日)に配布したものです。この後、6月例会(6月11日)に、本書の著者、吉田由布子さんをお招きします。それに先立ち、このブログにも載せました。(6月1日)



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