触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

菊池氏(前県高教組委員長)が教育の無償化を訴え熱弁 

<教育問題>
菊池氏(前県高教組委員長)が教育の無償化を訴え熱弁        2009.10.15              

はじめにー(言い訳を少し、長くなりますが…)

  9月26日の午後、栗原市市民活動支援センターで「ゆきとどいた教育をすすめる栗原市民の会」の設立総会が持たれ、その後に教育講演会が開催されました。既に9月28日に総会の様子は記事にしていますが、教育講演会の内容の紹介がまだでした。講師は菊池英行氏で、この3月まで宮城県の高校教組の委員長をされていた方です。一緒に参加した私の妻は、よく知っている方でして、退職後の様子など話したそうです。演題は、「教育費の無償化は世界の流れ!日本ではどうでしょう?」で、A4で10ページのレジュメ・資料を持ち込んで、教育の無償化を訴え、一時間近く熱弁をふるわれました。

  9月28日の記事でも講演の内容の紹介は後日にすると書きました。しかし、それから2週間以上経過。膨大なレジュメ・資料に講演中もずっとそれにメモ書きをしていましたが、この時は、私自身、その前後が多忙で、後で記事にするという明確な方向性は持っていませんでした。設立総会の方は、どのみち記事にすることは私自身の準備の状況から見当はつけていたと思います。しかし、うかつにも講演についてはただの単なる一参加者でした。講演を聞いてみて始めてとても重要な話であり、「要点だけでも周りの人たちに知らせなくては」とは思いました。

 しかし、最初から記事にするつもりで聞くのとそうでないのとでは結果が違ってきます。最近の例では、子どもの貧困問題を取り上げた10月5日のNHKのセーフティネット・クライシスvol.3です。準備万端で臨んだため、我ながら良く出来ていると自画自賛しています。その他、カテゴリー<TV>で取り上げたのは同様で、自分ではまずまずの出来だと思っています。(以前はビデオで録画したのですが、DVDにしてからはそれも出来ずに今は、一発勝負です。)ですから、この講演内容の紹介は自信はありません。
 
 しかし、それでも書くのは、10月9日の初めての役員会での話の流れからすると、どうも私には、事務局として(私は、事務局員です。)会報の担当がまわって来るような気配になってしまいました。どなたかに原稿依頼しても良いのでしょうが、それも事前に頼んでおくのがスジ。今回は不十分でも自分で書くしかありません。こうしたことは、まったくの言い訳に過ぎないことも百も承知で、言い訳なのか、グチなのか分かりませんが少し長く書いてみました。

<講演内容>

1、 高校生のおかれている深刻な現状

① 深刻な授業料減免状況

 宮城県でも高校在学者の授業料減免者が増えているだけでなく、授業料が払えずに退学する生徒が後を絶ちません。2000年度の授業料減免者数は、2978人(5.13%)であったものが、2008年度には、4301人(10.06%)(内定時制は35.3%)(この間、少子化の影響で全日制の高校生は1600人減少)

 その特徴は、
・滞納者の多い学校に退学者が多く出ている。
・特定の学校に集中→学校間格差が経済格差に連動。
・修学旅行に参加を断念した生徒の増加や、昨年には行事を中止した高校も。

② 中途退学の実態

 高校の中途退学者数(文部科学省)は、2008年度 66,000名余、実際にはもっとあります。(朝日新聞3/17 72,854人)

 「経済的な理由」で中途退学した者、2207名を具体的に調査すると・在学中の授業料滞納があった者51.2%・授業料減免を受けていたもの28.9%・奨学金を受けていた者10.4%と授業料減免や奨学金などのセーフティーネットが不十分なことが明らかになりました。

 この理由は、―・減免基準が厳しくて授業料減免が受けられない、奨学金の枠が少ない、・奨学金が貸与制であるために借りにくい、制度が周知されていない。-現行の就学援助制度がその役割を十分果たしていません。

③ 学則18条は、教育の機会均等を損ねている

 昨春、千葉県と長崎県で入学金が払えなかった生徒が入学式から排除されるという報道がされました。

 同じ時期、共同通信や毎日新聞が、授業料未納者を懲戒退学にしている問題を報じ、宮城県でも県立高校で、宮城県立高等学校学則18条(校長は、授業料、受講料、寄宿舎料又は入学金を条例の定める納期まで納入しない者に対しては、退学、出席停止、受講停止又は退舎を命ずることができる。)に基づき過去8年間で95人が停学処分を受け、うち54人が退学処分になっていたことが明らかになりました。

 憲法26条には、「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する」と定めています。しかし、今や、所得格差が、教育格差にもつながり、憲法が謳う「教育の機会均等」が損なわれている実態です。今起きていることは、憲法と法律が禁じている「経済的地位による教育上の差別」そのものです。

 宮城県内の公立高校における授業料減免率の推移を見ると、仙台市内の進学校は授業料減免率がほぼ5%以下であるのに対して、授業料減免者は地方の高校に集中しており、地方の拠点校以外の高校では、20%前後にもなっています。
 これを更に偏差値との関係で表わすと、
・仙台市内の進学校が偏差値60前後―授業料減免率がほぼ5%以下。
・仙台市近郊の高校と地方の拠点校が偏差値50前後―授業料減免率がほぼ5~10%。
・地方の拠点校以外の高校が偏差値45以下―授業料減免率が5%~25%。-経済格差が学校格差に結びつき、明確に教育に格差が生じていることがわかります。

 新自由主義的な教育政策のもと宮城県でも効率を優先した高校再編計画によって、学級削減、再編廃合・小規模校の統廃合などが進んでいます。非効率とされる地方の拠点校以外の高校から無くされようとしています。また、仙台市一極集中の宮城県で、来年度から「全県一学区」が強行されます。このことによって、ますます学校間の序列化と格差の拡大が進行し、就学の機会が奪われる子どもたちが増加することが危惧されます。

2、宮城高教組の取り組みー就・就学支援と奨学金マップによる奨学金制度拡充

  宮城高教組は、1978年より主任手当拠出運動を実施しています。主任手当受給者の方々から手当の一部を拠出していただき「就学支援金」「教育相談センター助成金」など県民と子どもの教育要求に応えるものに還元することを続けてきました。2008年度で、179名の生徒に680万円の支援を行い、この31年間で5700人を超える生徒に3億6000万円を超える支援となっています。

  また、宮城高教組は毎年、県・県教委に対して、国際人権規約に基づいて教育費の父母負担の軽減をすすめ、授業料減免や奨学金制度拡充など就学保障を図ることを求めてきました。市町村に対しても、「高校生・青年の就学・進路の保障を求める要請書」を持参し、現場の教職員とともに、地域の高校生の実態を行政に対して訴えています。2004年に日本育英会奨学金制度が廃止され、独立行政法人学生支援機構に統合されて以来、高校生にとっての奨学金は、地方自治体による奨学金制度に頼らなければならない状況となりました。

本来は無償であるべき教育費は、「受益者負担」の名のもと、家計圧迫の度を増し、親の経済状況によって高校生の学習する権利が奪われています。

  2005年には「市町村における独自の奨学金制度についての調査」を実施してすべての市町村から回答を得ました。それをもとに、「高校生などの学生への各自治体独自の奨学金マップ(自治体就学金制度活用の手引き)」として冊子にまとめ(2008年で第3版)、奨学金制度の創設や拡充のために各方面で活用していただいています。

3、 国際人権規約と日本

 国際人権規約<社会権規約>は、1966年に人類の普遍的人権として国連総会で採択され、1976年に効力が発生しました。

 その13条(教育への権利)では、「教育についてのすべての者に権利を認める。この権利の完全な実現を達成するため、(a)初等教育 (b)中等教育 (c)高等教育…これらの無償教育の斬新的な導入、…適当な奨学金の設立及び教職員の物質的条件を不断に改善すること」と明記しています。

  1979年、日本政府もこれを批准しましたが、13条の(b)(c)は国情にあわないとして、中等教育、高等教育の無償教育の部分を留保し続け今日に至っています。現在、批准国は150カ国以上にのぼります。未だに留保しているのは、マダガスカル、日本の二カ国だけです。

 注目すべき点は、ここでいう無償教育の「無償」の範囲を授業料などの「直接の費用」の他、「間接的な費用」や制服代にも適用していることです。日本では、「間接的な費用」は義務教育でも有償、高額であり、就学援助制度により低所得者が例外的に無償とされているに過ぎません。義務教育にとどまらず、中等・高等教育を含め、「間接的な費用」の徴収は条約違反です。すべての教育費の無償化と生活費を含む奨学制度の拡充は条約上の政府の法的義務です。

 民主党新政権は高校授業料の実質無償化を打ち出していますが、これは当たり前のことです。「日本の現状が異常だ。」と大きな声を上げなければなりません。 

4、 教育費の無償化は世界の常識

・憲法26条 「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」

・教育基本法第4条(教育の機会均等) 
すべての国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国民及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状況に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国民及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。

・子ども(児童)の権利条約 <1988年、国連総会採択>
 「教育についての子ども(児童)の権利」を達成するため、中等教育について、「無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供」などの措置を規定。29条は、教育の目的として、子どもの「可能性の最大限の発達」を掲げる。

・憲法98条2項  日本国が締結した条約及び確立した国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

― 150カ国以上(158)が批准する無償教育の導入を定めた国際人権規約第13条(b)(c)を日本政府が留保しているとしても、「確立した国際法規」なのであり、それを「誠実に遵守」することは政府の義務であり、しなければ憲法違反となります。―

・ OECD加盟国(30カ国)の高校・大学授業料の有無 
 高校授業料の無償化をしていないのは、日本とイタリア、ポルトガル、韓国の4カ国だけです。大学の授業料無償化はその半数の国々にまで広がっています。(EU諸国の15カ国)

 中でもデンマークでは、大学授業料無料+給付奨学金=「子どもが家にいるのは18年間だけ」18歳以上の学生全員に返済なしの奨学金支給。(実家で約2万円~家から独立の約9万円まで/月)他に妊娠、子持ち、障害の特別加算アリ。

5、 世論は動いている

① 授業料滞納は、保護者の意識の変化やモラルの低下が原因か? 

 1998年から授業料滞納者の増加は、生活保護世帯、自殺者の増加と重なります。自殺者が3万人に定着して、その自殺理由の中で「経済・生活問題」が一気に上昇し、「自殺理由境界年」に。
 1995年には消費税が3%から5%へ引き上げ。
 1999年には労働者派遣法が改正、派遣業種が拡大しました。
 2001年~2006年の小泉内閣以来の「構造改革」の進行の中、生活保護世帯と自殺者はさらに高い数字を記録し続けています。

 こうしたことが授業料滞納者の増加の背景にはあります。「保護者の意識の変化」ではなく、経済的な困難、「貧困と格差」の拡大が原因です。授業料がどうしても払えない生徒に対して必要なのは、授業料の督促ではなく、経済的な支援をすることです。今していることは、順序が全く逆です。

② 長年の国民の運動が、教育論議を激変させる。 

 これまでの日本では、学費値上げ、奨学金の有利子化など改悪の連続でした。歴代の日本政府は、高い教育で利益を得るのはその学生だから、費用も個人が負担すべきだとする「受益者負担論」の立場に立ってきました。ところが、深刻化する経済不況化での国民生活の疲弊、経済格差の進行、更に私たちの長年の国民運動で、「お金がなければ学べない国でいいのか!」…という怒りの声が巻き起こってきました。今回の総選挙では各政党が教育費の負担軽減を掲げるという劇的な変化が生じました。

③ すべての子どもに教育の機会均等を!

 教育費は、「受益者負担」「自己責任」ではなく、公費負担・社会的責任で行うことが必要です。経済的な問題で学校生活が困難な生徒が増えています。現状は、所得格差が教育格差に繋がってしまっています。

 これは、憲法と法律が禁じている「経済的地位による教育上の差別」そのものです。民主党新政権が公立高校の授業料無償化するとしたのは、国民の声の力です。授業料は教育費の一部であり、今後は、すべての教育費を無償にして、教育の機会均等をめざす必要があります。そうでないと、世界の教育費の無償化の流れに乗ったということにはなりません。そうして、日本の将来と、若者たちをしっかりと支えていかなければなりません。

<資料の一部の紹介>-当日配布された資料がありますが、上手く記事に載せられません。多くは文章に置き換えましたが、それでも不十分と思われますので、少し、追加で資料の一部の紹介をこれも文章でします。

・ OECD諸国の2003年度GDP 日本はアメリカの約1500兆円に次ぐ約500兆円で、世界第2位。あとイギルスの200兆円超で100兆円以下がほとんど。

・ OECD諸国の2003年度教育費;GDP比(%) 日本は29カ国中29位、デンマークの8%超を筆頭に平均が5%強、毎回の調査で トルコと一緒に3%台で最下位争いをしています。

・ 公立高校入学初年度、保護者負担総額(平均)
全日制 男子 平均315300円 最高443890円 女子 平均323505円 最高477022円
定時制 男子 平均104118円 最高182240円 女子 平均103679円 最高182240円
東北地方の全日制高校で初年度学校納付額が多い学校4校は、約32万円~約35万円。
内訳は、入学金 5650円 授業料 約12万円 PTA会費 約1万円弱 生徒会費 1万1千円~7千円程
   後援会費 5千円~約4万2千円 学年費 1千円~4万2千円 修学旅行積立金 6万円~12万7千円
   部活動振興費 7.8千円~26.4千円 進路指導費 2.5千円~6千円 その他 1万円~4万2.1千円

<私の感想> 

 民主党新政権の新しい政策の中でも、公立高校授業料の実質無償化への国民の支持は、かなり高い率になっています。しかし、それは、菊池氏が言っているように、教育費のまだ一部にしか過ぎません。まだまだ国民、市民の間には受益者負担や自己責任の考えが根強く残っています。ようやく授業料無償化まできたというところに過ぎません。

 高校生はもうしっかりとした青年です。彼ら自身が発言していくこと、と同時にその身近にいる教師・親も声をもっと上げていくことが重要です。菊池氏の講演は、教育費をめぐる問題点の整理や課題を明確にする上で大変、貴重なものでした。

 そして、宮城県の高教組の就学支援金の独自の取り組みで、3万円を支援した生徒がメガネを買ったという彼の話。「初めて黒板がはっきり見えた。」と…こうした話を私は聞いていて、彼の教師としての熱っぽさを大変感じました。
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。