触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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ガルトンのながぐつをはいたねこ

<子どもの本シリーズ13>        
 定例のおはなし会(2月6日)                      
                        2010.2.12
 
ガルトンのながぐつをはいたねこ (―①)

ポール・ガルトン(さく)寺岡 恂(やく)ほるぷ出版 1978年

あらすじ

 ある年老いた粉引き職人が引退し、3人の息子にはそれぞれ粉引き風車、ロバ、プスという猫が遺産として分けられた。三男が途方にくれていると、プスは、「いばらの中でも走れる長靴とひものついた袋を一つください。そうすれば あなたを今にきっと幸福にしてさしあげますよ」というのです。

 そして、プスはウサギを捕まえ、王様に「カラバ侯爵からの贈り物です」と言ってウサギを献上する。それを繰り返して王様とプスが親しくなった頃、プスは三男にある場所で水浴びをさせる。そこに王様と姫が通りがかり、プスはその前に出て「たすけてくれ!カラバ侯爵さま泥棒にあわれた!」と嘘をつく。そうして、三男と王様を引き合わせ、「カラバ侯爵の居城」に王様を招待することになる。プスが馬車を先導することになり、道で農夫たちに会うたびに「ここは誰の土地かと聞かれたら、『カラバ侯爵様のものだ』と言え。でないと、細切れにしてしまうぞ」と言う。本当は、魔法の力を持つ意地悪な巨人の土地だったが、農夫たちは王様に訊ねられると「カラバ侯爵様の土地です」と答える。

 そして、王様は「カラバ侯爵」の領地の広さに感心する。そして、美しい大きな城に着く。これは、巨人の城だったが、プスは巨人をだまして鼠に姿を変えさせ、捕まえて食べてしまう。そうして城を奪い、王様が着くと「カラバ侯爵の城にようこそ」と迎える。

 王様は「カラバ侯爵」に感心し、婿になってくれないか、という。「カラバ侯爵」はその申し出を受けてその日のうちに姫と結婚し、プスも特別の身分にとりたてられ、みんないつまでも幸せに暮らしたということです。

読み聞かせをして 

 2月最初の定例おはなし会は、第2班の担当、めずらしくメンバー4人が全員参加。それも皆さん準備してきたため、事前に調整。私以外は比較的短めのものでしたが、おはなしばかりでは、ということで、1つだけ間に「お弁当箱」の手遊びを入れました。この「ながぐつをはいたねこ」は、10分少々かかるため、最後のトリに。あいにくの大雪の中、どれほど集まるのかと心配していたら、子ども大勢に大人もくわわり、賑やかでした。テンポ良く私の前まで終わったのですが、やはり、残りは10分でした。

 子どもたちは、もう最後で少々飽き始めていましたが、「少し長い話だけど…」とことわりつつ、表紙を見せてタイトルを言うと子どもたちも「しってる、しってる」といって直ぐのってきました。表紙のしゃれた赤い長靴を履いて得意げな表情とポーズを決めた猫のプスはとてもチャーミングです。絵がとてもリアルであり、アメリカン・ポップ的というか、分かりやすく、軽快です。個人的にも大好きです。ガルトンの絵との出会いは、もう十数年前の「あかずきんちゃん」からです。「こんな風に表現するのか!」と驚かさせました。次が「3びきのくま」。定番になっていたロシアのとは、全く感じが違っていました。ガルトンは、何でも定番を覆してしまうのだと思いました。だから、この絵本も「ガルトンの…」とついても全く私的には不自然でないのです。この絵本は、ひらがなの連続で読み手としてはとても辛いものがあります。でも、子どもたちがとてもインパクトのあるこの絵によって、物語の中へグングンと引き込まれていって(私のそれなりに声を変えたり、テンポよくしたりして)とても喜んでくれるので、やりがいがありました。

 長いはなしですから、限られたページ内に収めるには、1ページ内にコマワリが3つが1ヶ所(3人の息子への財産贈与の場面)、2つが2ヶ所(これは見開きで2ページにわたり4コマに。―プスが次々に王様に贈り物を届ける場面)あります。いずれもそれほど不自然さはありません。逆に見開きの2ページ分を使った場面が内表紙をはじめ9ヶ所もあります。構図や絵の中の配置がよく考えられていて、とても、ダイナミックで、絵が生き生きしています。デザイナーであったことが関係しているかもしれません。

ガルトンについて

絵本のたまご にガルトンの紹介が載っていたので引用させてもらいます。

 1914年、ブタペスト生まれのPaul Galdoneは、1928年にアメリカへ移住。アメリカで工業デザインを勉強した後に出版社に勤め、その後絵本作家になる。第二次世界大戦の退役軍人でもある彼は、1986年に亡くなるまでに300冊以上もの絵本を手がけたコールデコット オナー賞受賞イラストレーター。注:1907年生まれで1921年にアメリカに移住したとの説もある。

 さらに詳しいガルトンのことを個人的にも知りたいと思っています。

シャルル・ペローとその童話について

 このことについては、やはり無難なところでは、Wikipediaで、
長靴をはいた猫 を参照することになります。さらに付け加えるなら、この後の④でこの絵本の文を書いている末松氷海子さんが、最後に解説をしているところから引用させてもらいます。

 「この物語は、シャルル・ペローが1697年に、「過ぎし昔の物語と教訓」と題してまとめた昔話集のなかの一つで、現代は「ネコ大将、または長ぐつをはいたネコ」といいます。…

 シャルル・ペローは、時の政府に仕えた貴族で、学者としても有名でした。年をとってから、各地に語りつがれた昔話
を集め、それをもとに自分で再話し、教訓を添えて刊行したのが、この昔話集です。これは「ペロー童話」として現代まで読みつがれてきました。

 「ペロー童話」の特色は、簡潔な表現やリズミカルな口調だけでなく、昔話のなかに、十七世紀の風習や思想をもりこみ、新しい時代のいぶきも感じさせたことといえるでしょう。この「長ぐつをはいたネコ」にも、親の遺産より知恵や器用さのほうが役に立つという、当時の新しい価値観がうかがえます。…」

他の「長靴をはいた猫」との比較

② 長ぐつをはいたねこ ハンス・フィシャー(ぶん・え)矢川澄子(やく)福音館書店 1980年
③ グリム童話より 長ぐつをはいたねこ スベンシー・オットー(え)矢川澄子(やく)評論社 1995年
④ 長ぐつをはいたネコ シャルル・ペロー(原作)ジュリアーノ・ルネッリ(絵)末松氷海子(文)徳間書店2000年

②は、原作は、シャルル・ペロー(フランス1628~1703年)の1697年作品からのもの。奥付を見ると、ハンス・フィシャー(1909~1958)は、スイスのディザイナー・版画家です。この作品自体は、1966年に出たようで、日本での福音館書店から出たのが1980年のようです。矢川さんの訳も「長男」を「総領」としているようにいかにも古い。①も④も「いちばんうえのむすこ」同じ矢川さんの③でも「長男」です。ハンス・フィシャーのえも版画家らしいものですが、分かりづらいところもあります。えの場面展開とぶんが合わないところもあります。

③は、もともとのペローの作品を100年以上後にまとめられたドイツの「グリム童話」初版からのもので、とことどころのやくが違っています。ねこの結末も「総理大臣」となっています。文章も、同じ矢川さんの手によるものですが、時代が違ってか、現代的に分かりやすくなっています。スベン・オットーはデンマークの画家で、とてもやさしい色彩、筆遣いのえとなっています。

④は、え自体がグリム童話をもとにしているが、文章はフランス語版は、ペローのはなしのとおり、英語版、ドイツ語版では、グリム童話を元にとそれぞれで、末松さんは、読みやすさを心がけ再話したとしています。出版が一番新しく、子どもにも読みやすいものになっています。ジュリアーノ・ルネッリ(イタリア1966~ )のえは、イラストレーターらしく、現代的でスマートで、洗練された美しいものになっています。

 栗原市立図書館には、①と③、④さらに、馬場のぼる、飯野 和好の絵本がありました。②は、県図書館より取り寄せました。

①は1997年時点で28版ですから、よく読まれている方だと思います。これらの中では、やはり私にとっては、①の「ガルトンのながぐつをはいたねこ」がベストです。

 ところで 読みくらべ絵本 岐阜図書館「ながぐつをはいたねこ」 によれば、「ながぐつをはいたねこ」は、32冊もあるということです。飯野 和好はここにも入っていないので、さらにもっとあるということでしょう。ここで取り上げたのは、ほんの一部ということです。

さらにもう一冊、

 1973年に出ている「長靴をはいた猫」 片山 健 (イラスト), 澁澤 龍彦 (翻訳)というのもありました。これは、
松岡正剛の千夜千冊「長靴をはいた猫」 というブログも見つかりました。ここで、この本を取り上げています。ここでの長靴猫とペローについての考察が面白いのです。

 中世ヨーロッパにおける「所有権」「財産贈与」、「執事」そして、「執事猫」=プスであり、ペロー自身でもあるといった考察です。
 
 ここまでくると、子どもの本といっても、なかなか奥が深いものがあります。まだまだ調べたりませんが、今のところ、このあたりで一応、止めておきましょう。また、何か分かったら、記事にするかもしれません。
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