触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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デフレの正体 ― 経済は「人口の波」で動く

<BOOKS> (37)                      2010.12.11
若い人たちのためのブックガイド
―<その1 現在を把握する-①>―     

はじめに

11月6日と12月4日の2回 私は、ブックトーク連続講座を受けました。2回目には、「旅に出る」をテーマにして、小5・6年~中学生向けのブックトークをすることになり、そのシナリオを作りました。ブックトーク自体は散々の出来でした。しかし、その準備の過程、シナリオ作りが大変勉強になりました。

また、朝日新聞掲載の「ヤングアダルトのためのブックサーフィン」というコーナーがあり、このブックトークを準備する過程で改めてよくチェックしてみました。そこでは、「読むぞ!ホップ ステップ ジャンプ」の副題で、本田由紀、佐藤 慶、池田清彦の3氏が、交代で、青年向けに、毎週3冊本の表紙の写真なども入れて、本のガイド・紹介をしています。私は、読んでみて、青年だけでなく私などにも参考になることが多くあり、そして、それがブックトークのシナリオにも共通するところがあるように思われてきました。

12月4日に初めてブックトークをしてみて、その大変さが少し分かりました。今後もこのブックトークにも挑戦はしていきます。しかし、私はどちらかというと、こうしたプレゼンのようなことより、これまでも<BOOKS>でかなりの数の書評をしてきていますが、文章を書く、シナリオを作る、本のガイド・紹介をする方が得意だと分かりました。

そこで、これまでの <BOOKS>〔書評〕 の変形として、「○○○の(ための)ブックガイド」というのを始めたみたいと思いました。手始めに「若い人たちのためのブックガイド その1、現在を把握する」をやってみます。

この「その1、現在を把握する」で取り上げる本は、次の三冊です。① デフレの正体、② 成熟日本への進路、③ 移行期的混乱 です。いずれもここ半年位の間に発行された新刊です。この「その1 現在を把握する」の後には、「その2、現状を打開するには?(仮称)」のようなものを考えています。

① デフレの正体>― 経済は「人口の波」で動

(角川oneテーマ21) [新書]  2010.6.10 発行 

著者 藻谷 浩介

1964年、山口県生まれ。株式会社日本政策投資銀行地域企画部地域振興グループ参事役。88年東京大学法学部卒、同年日本開発銀行(現、日本政策投資銀行)入行。米国コロンビア大学ビジネススクール留学、日本経済研究所出向などを経ながら、2000年頃より地域振興の各分野で精力的に研究・著作・講演を行う。10年度より現職。政府関係の公職多数

内容紹介(「BOOK」データベースより)

「生産性の上昇で成長維持」というマクロ論者の掛け声ほど愚かに聞こえるものはない。現実は内需にマイナスに働いているからだ。「現役世代人口の減少」、日本の問題はここにある!誤った常識を事実で徹底的に排す!!
日本最大の問題は「二千年に一度の人口の波」だ。「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。これが新常識、日本経済の真実。

目次(と項目・解説)

第1講 思い込みの殻にヒビを入れよう

「景気の波」を打ち消すほど大きい「人口の波」(生産年齢人口=現役世代の数の減小と高齢者の激増)が、日本経済を洗っているのだ、という事実を。

第2講 国際経済競争の勝者・日本

世界同時不況なのに減らない日本人の金融資産/バブル崩壊後に倍増した日本の輸出/世界同時不況下でも続く貿易黒字/世界中から莫大な金利配当を稼ぐ日本/中国が栄えれば栄えるほど儲かる日本/中国に先んじて発展した韓国・台湾こそ日本の大得意先/フランス、イタリア、スイスに勝てるか(競争―最高級品は日本、という分野を増やさなくては…)

第3講 国際競争とは無関係に進む内需の不振

「戦後最長の好景気」の下で減り始めた国内新車台数/小売販売額はもちろん、国内輸送量や一人当たり水道使用量まで減少する日本/なぜ「対前年同期比」ばかりで絶対数を見ないのか
第4講 首都圏のジリ貧に気づかない「地域間格差」論の無意味
「苦しむ地方の例…個人所得低下・売上低下の青森県/「小売販売額」と「個人所得」で見える「失われた10年」のウソ/「地方の衰退」=「首都圏の成長」とはなっていない日本の現実/「東京都心部は元気」という大ウソ/名古屋でも不振を極めるモノ消費/地域間格差に逆行する関西の凋落と沖縄の成長/地域間格差ではなく日本中が内需不振

第4講 首都圏のジリ貧に気づかない「地域間格差」論の無意味

「苦しむ地方の例…個人所得低下・売上低下の青森県/「小売販売額」と「個人所得」で見える「失われた10年」のウソ/「地方の衰退」=「首都圏の成長」とはなっていない日本の現実/「東京都心部は元気」という大ウソ/名古屋でも不振を極めるモノ消費/地域間格差に逆行する関西の凋落と沖縄の成長/地域間格差ではなく日本中が内需不振

第5講 地方も大都市も等しく襲う「現役世代の減少」と「高齢者の激増」

苦しむ地方圏を襲う「二千年に一度」の現役世代減少/人口が流入する首都圏でも進む「現役世代の減少」/所得があっても消費しない高齢者が首都圏で激増/日本最大の現役減少地帯・大阪と高齢者増加地帯・首都圏/「地域間格差」ではなく「日本人の加齢」/団塊世代の加齢がもたらす高齢者のさらなる激増
第6講 「人口の波」が語る日本の過去半世紀、今後半世紀
戦後のベビーブームが15年後に生んだ「生産年齢人口の波」/高度成長期に始まる出生者数の減少/住宅バブルを生んだ団塊世代の持ち家取得/「就職氷河期」も「生産年齢人口の波」の産物/「生産年齢人口の波」が決める就業者数の増減/「好景気下での内需縮小」が延々と続く

第6講 「人口の波」が語る日本の過去半世紀、今後半世紀

戦後のベビーブームが15年後に生んだ「生産年齢人口の波」/高度成長期に始まる出生者数の減少/住宅バブルを生んだ団塊世代の持ち家取得/「就職氷河期」も「生産年齢人口の波」の産物/「生産年齢人口の波」が決める就業者数の増減/「好景気下での内需縮小」が延々と続く


第7講 「人口減少は生産性上昇で補える」という思い込みが対処を遅らせる

「生産性」と「付加価値額」(企業の利益+地元に落ちるコストの一部)の定義を知っていますか?/生産年齢人口→付加価値額の減少を、原理的に補いきれない生産性向上/「生産性向上」努力がGDPのさらなる縮小を招く(日本の産業は、付加価値額を上げる方向に、人減らしではなく商品単価向上に向け努力すべき)/簡単には進まない供給側の調整/高齢者から高齢者への相続で死蔵され続ける貯蓄/内需がなければ国内投資は腐る/三面等価(GDP=生産=支出=分配)方式の呪縛/「国民総時間」(国民が経済活動に使える時間の総合計)の制約を破ることは可能なのか?―最も希少な資源が労働でも生産物でもなく実は消費のための時間「時間の経済学」

第8講 声高に叫ばれるピントのずれた処方箋たち

「経済成長こそ解決策」という主張が「対策したフリ」を招く/「内需拡大」を「経済成長」と言い間違えて要求するアメリカのピンボケ/マクロ政策では実現不可能な「インフレ誘導」ト「デフレ退治」/「日本の生き残りはモノづくりの技術革新にかかっている」という美しき誤解/「出生率上昇」では生産年齢人口減少は止まらない/「外国人労働者受け入れ」は事態を解決しない/アジア全体で始まる生産年齢人口減少に備えよう(日本で売れる商品を生み出し、日本で儲けられる企業を育てることで、高齢化するアジアに将来を示す)
   
第9講 ではどうすればいいのか(1)高齢富裕層から若者への所得移転を

若い世代の所得を頭数の減少に応じて上げる「所得1.4倍増政策」/団塊の世代の退職で浮く人件費を若者の給料に回そう/若者の所得増加推進は「エコ」への配慮と同じ/「言い訳」付与と「値上げのためのコストダウン」で高齢者市場を開拓/生前贈与促進で高齢者富裕層から若い世代への所得移転を実現

第10講 ではどうすればいいのか(2)女性の就労と経営参加を当たり前に

現役世代の専業主婦の四割が働くだけで団塊世代の退職は補える/若い女性の就労率が高い県ほど出生率も高い
第11講 ではどうすればいいのか(3)労働者ではなく外国人観光客・短期定住客の受入を
高付加価値率で経済に貢献する観光収入/公的支出の費用対効果が極めて高い外国人観光客誘致

補  講 高齢者の激増に対処するための「船中八策」

高齢化社会における安心・安全の確保は第一に生活保護の充実で/年金から「生年別共済」への切り替えを

第1講から第6講までは「日本経済が直面している人口成熟問題のラフスケッチ」―客観的事実の確認です。
その後の第7講は、過った対処法の「生産性さえ上げておけば大丈夫」論。第8講は、その他の過った対処法。
第9.10.11講は、具体的な対処法。そして、補講は、人口の波が生むもう一つの大問題―「激増する高齢者に対応してどのように医療福祉や生活の安定を維持していくのか」の安心安全確保策(著者の大まかなビジョン)。

おわりにー「多様な個性のコンパクトシティたちと美しい田園が織りなす日本」へ 

現実の経済は悪循環の方向にー団塊世代の一次退職→彼らの年収の減少→彼らの消費の減退→内需対応産業の一層の供給過剰感→内需対応産業の商品・サービスの値崩れ→内需対応産業の採算悪化→内需対応産業の採用抑制・人件費抑制→内需の一層の減退、という国内経済縮小の流れ。

 団塊の世代の一次退職に伴って浮いた人件費を若者に回す努力をすることで、内需の減退を防ぎ、際限ない経費削減地獄を脱することが可能。高齢富裕層が座して株価下落を見ているのではなく、持っている金融資産の1%でも消費に回してくれれば、国内経済はドラスティックに浮揚するが…。しかし、現状は、皆でお互いのクビを締め合っている。

 この事態を招いた最大に原因が、「日本人の加齢に伴う生産年齢人口の減少」という事態の本質を無視し、現状を無理やり「景気循環」だけで説明してしまうこと。過去10年以上と同じように、適切な対策を取らなければ、今後ともずっと、企業の過剰在庫は腐り続け、内需は縮小続ける。

 生産年齢人口減少は、「日本の雇用や内需を維持しつつ同時に生産性を高めていける」大きなチャンスでもある。企業は「景気対策」を政府に任せるのをやめ、自らが若者を雇用することで内需を拡大させる。政府は困窮した高齢者へのセーフティネットを万全にすることで、高齢者の退職を促進する。―そうすれば数十年後の日本は、現在の経済規模を維持したまま、数割は高い生産性を達成。若い世代の所得上昇、女性就労の促進、団塊世代死去で社会福祉負担の絶対量減少、これらによって出生率上昇・安定へ。

 その頃の日本、生産年齢人口3-4割減の国土の姿は、コンパクトシティ化に。美しい田園も、個性を持った都市景観も、耐震性の高い高品質の建物に立て直す「減築」が当たり前に。「土地の所有と利用の分離」の常態化など進み、土地所有が貯蓄手段でなくなっていく中で、工芸・美術品や優れたデザインの建築物などヴィンテージの付く商品が貯蓄手段に。地域の個性を活かした手作りの地産地消の増加、高価な地産地消品のアジア諸国への輸出の流れも太く。

 人口減小の中で一人一人の価値が相対的に高まる中、その中で暮らす人々も、それぞれやりがいのあることを見つけて生き生きと。未来の実現に向けて自分の地域を良くして行こうと活動する老若男女はどんどん増えている。

私の感想

著者が本書で繰り返し主張しているのは、経済状況を分析する際に失業率や前年同月比といった指数ではなく、生産年齢人口や小売販売額といった実数を使えということでした。第6講では、「戦後復興の中で、たまたま数の多い団塊世代が生まれた。彼らが加齢していくのに伴い、そのライフステージに応じてさまざまなものが売れ、そして売れなくなっていく。この単純なストリーで説明できてしまう」と言っています。私自身も団塊の世代ですから、自分自身のライフステージを振り返ると全く納得してしまいます。しかし、こんなことを経済学者たちは言って来なかった。「目からウロコ」の思いです。団塊世代の定年退職と子どもの減少による「生産年齢人口減少に伴なう就業者数の減少」こそが、平成不況とその後の「実体なき景気回復」を生み出しました。

 人口動態、つまり生産年齢人口の減少と高齢者人口の増加。端的に言えば、消費をリードする若い世代がお金を持たず、多くの金融資産は消費意欲の低い高齢者が持つ。その結果内需は低迷し経済も停滞すし続けているということです。

この事実認識を共有した上で、政府、自治体、企業も対策を講じなければならないのにそうなっていない。そればかりか間違った対処法を取り続けている。そして、著者が示している具体的な対処法については、第9.10.11講は、私も、概ねそうすべきだと思いました。その具体的な検討は、この後の予定(何時になるか?)の「その2、現状を打開するには?(仮称)」で、したいと考えています。しかし、補講 高齢者の激増に対処するための「船中八策」 は、「生活保護の充実」は良いとして、問題は「生年別共済」の方です。世代間論争になるかもしれませんが慎重に議論する必要があります。

おわりにー「多様な個性のコンパクトシティたちと美しい田園が織りなす日本」へ は、もうこの時点(数十年後の日本)では私自身は存在していません。私もそうした美しい日本を見るまで生きていたいのですが…(但し、現在、日本にあるコンパクトシティは問題点が多い)しかし、こうした大きなスパンで将来を描くことは、今の若い人たちとその子どもたちにとっては、大変必要なことだと思います。

本書によって、今後の日本の経済が、長期的にどう変化するのか、どうなっていくべきかが、ある程度は予測できます。本書は7月に図書館見つけて読みました。8月にはアマゾンで注文したのですが新刊が入手出来ず、先ず、中古本を購入。遅れて新刊が届くと東京で暮らす息子夫婦(団塊ジュニア)に必ず読むようにと贈りしました。香川の娘夫婦にも読むように勧めているところです。今後の日本の社会をどうすべきか、これは、彼ら団塊ジュニア達が主力になって行くことです。私たちは、それに対して、彼らの邪魔にならないようしたいし、出来ることなら助力もしたいと思います。この「若い人たちのためのブックガイド」は、私なりの助力のつもりでまとめてみました。この後もこの“おせっかい”を続けるつもりですので、どうぞお付き合い願います。

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拙著もお読みいただければ幸いです

ブログ「高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門」http://abc60w.blog16.fc2.com/
カテゴリ:藻谷浩介もご参照いただけると、ありがたいです。よろしくお願いいたします。

菅原晃 | URL | 2011年01月26日(Wed)21:13 [EDIT]


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人口万能教:デフレの正体 経済は「人口の波」で動く

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)作者: 藻谷 浩介出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/06/10メディア: 新書 今の日本の不況を説明する本にはいくつか種類がある。 ・マネー供給が少ないことを主要因とするも

本読みの記録 2010年12月24日(Fri) 22:58


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