触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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「子どもたちを放射能から守るために」

<BOOKS> (41)              2011.9.7

「子どもたちを放射能から守るために」

出版社: 亜紀書房 (2011/6/8)

<著者について>

菅谷 昭

1943年長野県生まれ。信州大学医学部卒業後、甲状腺疾患の専門医として活躍。1996年に信州大学を辞めて、チェルノブイリ原発事故被災地の医療支援活動のため、ベラルーシ共和国に渡る。首都ミンスクの国立甲状腺がんセンター、高度汚染地域のゴメリの州立がんセンター等で、小児甲状腺がんの外科治療を中心に、5年半の医療支援活動を行った。帰国後、2004年に長野県松本市の市長に就任。チェルノブイリ原発事故の現状を踏まえながら、NPO法人「チェルノブイリ医療基金」の活動とともに、さまざまな提言を松本から発している。著書に『チェルノブイリ診療記』『チェルノブイリいのちの記録』(以上、晶文社)、『ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間』(ポプラ社)、『真っ当な生き方のススメ』(岳陽舎)などがある。

<内容紹介>(「BOOK」データベースより)

 水道のお水は飲ませてもいいですか? 野菜や魚は安全ですか? 放射能を浴びたら、どんな健康被害がでるのですか? 日本で起きてしまったレベル7の原発事故を前に、親たちの心配は限りがありません。大切な子どもたちを放射能から守るために、何をしたらいいのか。 チェルノブイリ原発事故の医療支援をした医師であり、現松本市長が、「放射線を正しく知り、放射能から正しく身を守る」方法を語ります。

<目次>

1章 放射線を浴びたら、どんな健康被害がでるのですか?
2章 水や野菜や魚、ふつうに摂ってもだいじょうぶですか?
3章 25年目のチェルノブイリ

<いくつかの内容からの要約メモ>

はじめに

 福島原発の事故は、チェルノブイリと同じ「レベル7」。チェルノブイリの教訓はほとんど生かされず、政府の対応は後手後手に。原発の危機管理ができていない。核の災害は、最悪の事態を予測して先へ先へと手を打っていくことが大切。最終的に予測より悪くならなければ、「ごめんなさい、でもよかったね」と喜び合えばよい。研究者の中には「チェルノブイリ事故と福島の事故は、規模も内容も全く異なる」という人も。ですが、医師の立場でいえば、いったん放射性物質が体内に取り込まれれば、少量であろうがなんらかの影響を与えることには変わりはない。しかも、福島では、まだ放射性物質の放出が止まっていない。甘く見てはいけない。

放射能には、どんな危険性が?

 放射能の危険については、まだすべてが分かっているわけではない。とくに放射性物質が体の中に入ってしまった場合の健康被害については、基礎的にも臨床的にも十分解明がされていません。
 ICRP(国際放射線防護委員会)は、放射線防護に関する専門家の国際組織で、その基準は世界各国の放射線障害防止に関する法令の基礎になっている。しかしICRPの見解には大切なことが抜け落ちています。「内部被ばくが原因で起こる影響」についての視点です。原発事故では、とりわけ長期にわたり問題となるのは「低線量での内部被ばく」です。これは、チェルノブイリ原発事故でしか経験していないもの。そして、その健康被害は現在進行中のため、まだメカニズムがはっきりと分かっていません。

妊娠している女性はなにに気を付ければ?

 妊娠している女性は、胎盤を通して放射性物質が胎児に向かいます。チェルノブイリ被災地では、事故からしばらくして妊産婦の貧血が増え、体力の低下などのため帝王切開や低出生体重児が多くなり、奇形児も増えたといいます。

 人の体は放射性物質を取り込んだとしても、排せつする機能を持っていますが、すべてを排泄するわけではありません。傷ついた細胞を修復する機能もありますが、100%修復されるわけではありません。少量でも内部被ばくをすると、がんになる可能性があるのはそのためです。

 外部被ばくと比べて、内部被ばくは分からないことが多い。分かっているのは、チェルノブイリ被災地にあるデータだけ。子どもの甲状腺がんが激増したという事実です。

 よく分かっていないものは体内に取り込まないほうがいい。とくに乳幼児やこどもや妊娠している女性は、汚染された水や食べものをできるだけ口にしないほうがいい。

甲状腺がんは、死亡率の低いがんと聞きますが?

 確かにたちのよいがんです。手術をして腫瘍を取り除けば、元気で生きていくことができます。ただ、チェルノブイリの小児の場合、6人に1人が肺に転移しています。「甲状腺がんは生存率が90%で、がんの中でもたちのよいがんです。大したことはありませんよ」という方がいます。確かにたちのよいがんですが、だからといってがんになっても大丈夫だというのはおかしい。5歳や10歳の子どもががんの手術をするのです。現場を知らない人はこうしたことを平気でいいます。数字でおおきくとらえてしまうのです。がんは、一人ひとりの命の問題なのに。

「内部被ばく」をしないために、どうすれば?

 事故後、内閣府の食品安全委員会に参考人として呼ばれました。驚いたのは、もともと日本には核災害での食品汚染の基準値がなかったことです。今回のことであわてて暫定基準値が設けられました。基準は厳しいほうがよい、理想をいえば子どもは、汚染されたものを食べないほうがよい。たとえば水道水の場合、乳幼児のセシウム134,137の基準値100ベクレル/kgですが、110ならダメで95ならよい、というものではないから、少量でも体内に入れば、そこから放射線が出て細胞を傷つけることになるのです。

 守らなければならないのは、大人よりも放射線の影響を受けやすい子どもたち。乳幼児だけでなく、15歳未満までの子どもを守ってほしい。妊娠中や妊娠の可能性がある若い女性も注意が必要です。

ヨウ素剤を飲めば、放射能被害を防げるのか?

 安定ヨウ素剤は、数時間以内に服用することで甲状腺をヨウ素で満たし、とくに放射性ヨウ素を甲状腺内に寄りこまない環境をつくる。(タイミングが重要)

 チェルノブイリ事故直後、ベラルーシの西隣にあるポーランドでは、政府が、翌日(4月27日)夜、非常事態体制を発動。4日目には、全ての病院、保健所、学校、幼稚園にヨウ素を配布。人口の9割を超える1000万人以上の子どもに薬を投与した。5月15日までは、乳牛に新鮮な牧草を与えることを禁止。汚染されたミルクを子どもが飲むことも禁止して、4歳以下の子どもには粉ミルクを配った。政府の迅速な対応が功を奏し、ポーランドでは子どもの甲状腺がんの発症を避けられた。

 今回の事故後、福島県が政府にいわれてヨウ素剤を70万人分用意したが、その後「飲め」という指示がないので待っている?という事態に。(結局、飲まずに無駄に。)

残留放射能濃度はどうなっているのか?

 事故の直後から、食品や水の残留放射能濃度が大きな問題に。食品安全員会によって懺定的な基準値が定められ、それを超える値が検出された場合には、出荷制限が行われています。しかし、乳幼児や14歳までの子ども、および妊娠中や、授乳中の女性については、基準値以下であっても汚染されている可能性があるものは、口にしないほうがいい。

 放射能のついた食べものや水をとることで、内部被ばくが起こります。少量であっても体内に入った放射性物質は、核種によって特定の臓器や筋肉や骨に集まります。そこからの放射線が出て細胞が傷つけられる可能性があります。放射線の影響は、細胞が分裂する時がもっとも受けやすいため、代謝の活発な小さな子どもほど注意すべき。

魚は安全ですか?

 チェルノブイリ原発のあるウクライナや、高度に汚染されたベラルーシは内陸部で、淡水の魚についての汚染データがあっても、海の魚のデータがほとんどない。海にこれほど高濃度の放射性物質が大量に垂れ流されたのは、かつてないこと。食物連鎖が予想される。どこで、どんなふうに汚染が広がっていくかわかりません。しかも、いまなお福島では、汚染された水の放出が止まっていない。
 学者によっては「大したことない」と。しかし、その机上の統計だけを見ているから甘い判断に。油断やおごりが、事態を悪化させていく。放射能はまだ分からないことが多いのです。解らないからだいじょうぶ、ではなく、分からないから怖い。

「安全」という政府の言葉を信じてよいのか?

 核の事故の安全対策は、どんなにやってもやり過ぎということがありません。甘く見積もって対策を講じないまま取り返しがつかなくなるより、行き過ぎたくらい心配したほうがいいのです。

 すべてをオープンにしないまま「安全だ」と言ったり『念のために』と言うのでは、かえって人は不安にさせられます。

これから、国にできることは?

 半減期の長いセシウム137を中心に、土壌の放射性物質の量を測定し、汚染地図をつくること。食品の放射能測定をあらゆる分野で行い、長期にわたり調査を続けていくこと。

 食品の放射能測定については、できるかぎり細やかに行っていくべき。あらゆる食品の測定を細かく行っていくことは政府が主導してやった方がいい。安全が確認されたものだけを市場に並べるようにすれば、風評被害を出さずに安心して食べることができます。

 ポーランドのように日本政府にも、原発事故の早期消息と合わせて、健康被害をどう食い止めるかを本気で考えてほしい。

いま、チェルノブイリ被災地では… 
 
 チェルノブイリの汚染地域では、この25年間にさまざまな病気が問題になってきました。小児甲状腺がんとは違って「事故によるもの」とは認められていませんが、風邪をひきやすかったり、疲れやすかったり、貧血があったりと、免疫機能にかかわる体調の悪さを訴える人が多くいます。また、白血病や肺がん、さまざまな先天性障害(奇形児など)も増加したといわれます。事故当時赤ちゃんだった世代が大人になり、結婚や出産をする年齢にさしかかっています。早産や未熟児など、異常分娩が増えています。事故後、ベラルーシでは健康診断や疫学調査を、国をあげて行うようになりました。土壌調査もかなり細かく実施され、汚染地図がつくられました。

 日本でも、今後は健康診断や疫学調査の体制を整えるべきです。土壌調査、汚染地図、そのデータが避難や移住の計画を立てる根拠となります。

<私の感想>

 このところの私の関心事は、講演会のタイトル(案)に出しているー「放射線低線量での内部被ばくの危険性」とくに子ども・妊婦の健康への影響は、食生活など生活上の注意点は、―ということです。そこでいろいろアマゾンなどで参考になるような本を探しました。いくつかピックアップした中の一つが本書です。菅谷 昭氏の発言は、時々目にしていたと思いますが、まとまったものは初めてです。アマゾンでのカスタマーレビューでの評判が大変よく取り寄せて読んでみようと思いました。大変わかりやすく読みやすい。ものの1時間少しで読めてしまいました。それでいて、要約メモにしましたが、結構、参考に使わせていただけるような文章がたくさんありました。

 <BOOKS>(書評)に書こうと思っていた時、週刊東洋経済(9/10)にインタビュー記事が出ていました。「線量測定、給食など最低限の対策は可能」というタイトルです。タイトル通り自治体のトップとしてやるべきことをする。それが市長就任以来「健康づくり」「子育て支援」「危機管理」を訴え、学校給食に対する施策(食材の放射線の影響を考量しての選択)も市民を守るという施策の延長線上にあるものだ。ということでした。また、ヨウ素剤の備蓄も計画しているそうです。このヨウ素剤については、8月27日放射線医療研究会で原子力安全委員会の助言メンバーが「福島で当時の周辺住民の外部被ばくの検査結果から、少なくとも4割が安定ヨウ素剤を飲む基準を超えていた恐れがある」と指摘した。ということです。今後の追跡の健康診断などが重要になってきます。インタビューでも菅谷氏が言っているようにーこうした「行政側の無知が遅れのすべて」になってしまうのです。

 また、本書を読んで、学校給食・食品に対する取り組みをもっと強化しなければいけないなと思いました。「子どもたちへの内部被ばくを極力避けるのを原則にする」このことでの合意の取り付けが重要になってきます。給食食材も自治体でできることはすべてするという方向に持っていく必要があります。
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