触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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「チェルノブイリ・フクシマ なさけないけどあきらめない」

<BOOKS>(42)               2011.9.9

チェルノブイリ・フクシマ なさけないけどあきらめない

出版社: 朝日新聞出版 (2011/7/30)

<内容紹介>

医師であり、チェルノブイリに何度も通って医療支援を続けてきた著者が、被災地に入って見聞きした現状を紹介し、福島第一原発の事故直後から書きためてきたノートも公開する。放射線医療の第一人者やエコロジストなどとの対談も収録。

<著者略歴など>

鎌田 實

1948年、東京都生まれ。諏訪中央病院名誉院長。91年に日本チェルノブイリ連帯基金を設立し、ベラルーシに20年間で医師団を94回派遣し、約14億円の医薬品や医療機器を支援してきた。著書に「がんばらない」「あきらめない」「なげださない」など。鎌田 實ホームページ / 公式ブログ「八ヶ岳山麓日記」

<目次>

第1章 マルに近いサンカクを探る
第2章 カマタ・フクシマノート
3月
4月
5月
第3章 三人と意見をぶつけ合ってみる
山下俊一・長崎大学教授―チェルノブイリと福島原発 同じ病巣と相違点
住田健二・大阪大学名誉教授―組織も監視も情報公開も原子力は未成熟だった
田中優・エコロジスト―すぐに原発廃止しても節電と自然エネルギーで対応できる

<内容からの要約メモ・感想>

第2章「カマタ・フクシマノート」

3月11日から始まるこの第2章は、ほぼリアルタイムで著者自身が綴ってきた鎌田氏の公式ブログ「八ヶ岳山麓日記」からのピックアップです。他の章はその後に書かれたものの(あるいはその途中で)ようですので、まずここから。

これは、震災当日の夜の文章で、文中で、「ぼくは、反省している。」からはじまり、「20年間、チェルノブイリ原発事故で健康被害に遭った人たちとかかわり、原発の恐ろしさをよく知っているのにもかかわらず、原発をすぐに止めろとは言わなかった。原発はもうつくらないほうがいい。そう思っていた。危険な原発から時間をかけて廃炉にしていけばいいと思っていた。ぼくは反原発でも脱原発でもなく「超原発」派。原発をのりこえるエネルギーシステムをつくること。多様な再生可能エネルギーを効率よく引き出すシステムを開発して、これを、いずれ輸出の柱にする。内向きの思想や清貧の思想や断捨離ではなく、若者の雇用を拡充するため、経済をよくするエネルギー革命を起こすべきだ。そのために原発にかけていた莫大なお金をシフトすればいいと思っていた。原発をすぐに止めろと言わなかったのは、経済が悪くなると勝手に思い込んだからだ。経済が悪くなったら、若者の雇用はもっとシビアになり、この国はめちゃめちゃになると思っていた。原発に真っ向から反対しなかった。自己批判しないといけない。そう思っている。」としています。

(ここに鎌田氏のすべてが正直に出ていると思われました。そして、その反省からの行動が現在も続いているのだと。)

3月21日―「科学的」ってなんだろう。胃の検査0・5回分のホウレンソウは多分、何の病気も起こさないと思う。でも本当に体の中でどんなことが起きているか全てを科学的に証明できるだろうか。命には科学を超えるものがある。すべてを科学で説明できるとは思わない。…「納得」「信頼」「安心」が大切。なおかつ、放射線による健康被害を出さないことが大事。このくらいは多分大丈夫という数値よりも、飲み水や牛乳や野菜に関しては厳しく取り扱うことが、風評被害も出さないことになる。

3月23日―東京の水道水からも1?当たり210ベクレルが検出。雨により,空中に漂っている放射性物質が地上に落とされたため。乳児の基準値100ベクレルを超えたため、飲まないほうがいいと指示。…チェルノブイリとは放射線量の桁が違うが、わずかでも体内被曝を起こす可能性を考えて、避けられるものは避けた方がいい。40歳以上では、放射性ヨウ素と甲状腺がんの因果関係はほとんどないとされる。

4月2日―IAEAの考え方と日本の考え方に差が。多くの外国人が日本を去っている。IAEAに文句を言わせないためには、大気や水、土壌のモニタリングポストを強化すること。情報の収集と分析を徹底し、きちんとオープンにすること。御用学者や「原子力村」の学者の言葉は話半分に聞いた方がいい。でも、まともな学者でも、テレビの手法では、国民を納得させるのはむずかしい。「大丈夫」の根拠を述べさせなければ、「大丈夫」という言葉は不信、不安、不満を広げるだけ。

4月5日―低レベルの汚染水を海に捨てた。原子力学会の異常事象解説チームの一人が海で拡散するから大したことはないと説明。30?も離れたところで基準の2倍は高濃度。もっと近い海は、かなり汚れている。食物連鎖が怖い。…日本では、「安全神話」による過信で原発事故を起こしてしまった。批判的な意見は無視してきた。結果としてシビア・アクシデントが起きた。でも、「大したことはない」という学者がいっぱいいるこの国は、本当に原発事故の再発を防げるのだろうか。…医師としては、余計な放射線は受けるべきでないと思っている。子どもと妊娠の可能性のある女性には特に注意をしてきた。結局「大丈夫」というのは、妥協の産物なのである。

4月9日―政府が魚介類の放射性ヨウ素の暫定基準を1?当たり2千ベクレルとした。農産物と一緒にしたという。「科学的」なのだろうか。原子力を推進してきた政府や学者、電力会社は常に「科学的」という言葉を使いながら、原発に対する不安を封じ込めてきた。「科学的」という言葉が、我が物顔でのっしのっしと歩き回ってきた。低レベルだからといって、海に汚染物質を流していいのだろうか。海が少し汚れても大丈夫。魚が汚染されても基準以下なら心配ないという。これが「科学的」という言葉の正体だ。…この国の「科学的」というのは、単なるご都合主義のように聞こえてならない。

4月10日-チェルノブイリの子どもたちの医療支援に20年間関わって思うのは、余計な放射能は浴びるべきでないということだ。少しだから大丈夫とは、言いたくない。…健康被害を起こさせないためのシステムをしっかりつくるしかない。食の安全性を確保することは、内部被曝を防ぐという意味で重要だ。

4月12日―ICRPは、緊急時でも年間20~100ミリシーベルトの放射線量を浴びる場合は対策が必要と勧告。避難範囲を決めるのに今回の判断は20ミリシーベルト。5ミリシーベルトでは避難者が大集団に。平時の基準値1ミリシーベルトにすると福島県の多くの人が移住せざるを得なくなる。悔しいけど20ミリシーベルト以上を計画的避難にしたのは仕方ないと思う。ただし、子どものリスクは出来るだけ減らすべきだ。

 対象の市町村に、納得してもらう説明があったかどうか。コンセンサスを得るムードをつくるのが、実に下手な政府だと思う。困難の中を生き抜くためには「納得」「信頼」「発想の転換」「雇用」「絆」の5つが大事。

4月26日―地震学者・石橋克彦氏は「大地動乱の時代」と呼んで大地震を予想していた。「想定内」なのだ。「科学的」という切り札的な言葉で、日本の原発は「安全」と言いくるめてきた。現在使っているGE製原子炉格納容器の意外なもろさは、すでに1975年に指摘されている。これも「想定内」。「想定内」のことを「科学的」という言葉のもとに、結局コストのために無視してきたのだ。

4月30日―フィルムバッジは、1年間の放射線の蓄積被曝量をはかることができる。…線量計を持ったり、フィルムバッジをつけたりして外部被曝量を測る。ホールボディーカウンターで内部被曝を測る。多種多様のデータで被災者を守る必要がある。フィルムバッジは、1つ1年間で1万8千円の契約料がかかる。

5月1日―年間1ミリシーベルトでも不安に思う親もいるだろう。それは十分に納得できる。情報をできるだけオープンにしよう。その情報の中で親が自己決定をすればいい。政府は根拠のない緩い基準値を作って、うわべだけの安心をさせるだけではダメだ。どれだけの改善をしていくかが問われている。…子どもたちの健康や命を守るためには、外部被曝だけでなく、内部被曝を考慮しなければいけない。粉じん中のホットパティークルを吸い込んだり、放射性物質を含んだ食べ物を食べたりしてしまう可能性がある。これを測定するためには、内部被曝量を体外から測るホールボディーカウンティングの機械が必要である。

5月6日―東電は、福島第1原発から15~20?離れた海底の土砂から、通常の100~1千倍の放射性物質が検出されたと発表。低濃度汚染水の海洋放出は、世界の目が、それまでの震災をこうむった日本への同情から、批判へと変わった分岐点となった。…呪文のように「絶対、大丈夫」と言ってつづけた東電。「科学的に心配ない」と言い続けた科学者たち。みんな口を閉ざし始めた。

5月9日―今の土俵際の日本を救うためには発想を変えなければならない。これからも「原発を作り続ける」日本は救われないと思い始めている。学会でも、政界でも、マスコミでも、国民のためにどうすることがいいのか、ニュートラルに議論できるようになるといい。民主主義が成熟してないから、水俣病も起きるし、薬害エイズも起きるし、沖縄の基地問題も起きる。国民が議論してきちんと決めることが大事である。

5月31日―放射能汚染は広範囲に広がっている。」自分の所は大丈夫だと思わないほうがいい。測定範囲を広げ、しっかりモニターしていく必要がある。各地の牧草にも放射能の影響が微量だが出始めている。牧草や原乳の放射線量をきちんと調べ、汚染されたものは、市場に出さないことを徹底すべきだ。子どもたちには、余分な放射能を含んだ野菜やミルクを与えないようにしたい。恐れすぎないようにしながら、しっかり恐れる。これくらいでいいと思ってはいけない。それぞれが放射線被曝を少なくしながら、日本を壊さないためにどうしたらいいか真剣に考えていく必要がある。

第1章「マルに近いサンカクを探る」

 ここまで先に、第2章―日記の部分の紹介をしました。そこで、第1章に戻ります。鎌田氏は、物事をマルとバツに分けるのではなく、できるだけマルに近いサンカクを見つけるのがいい。「100ミリシーベルトまで大丈夫」と「1ミリシーベルトでも危ない」の間の激しい闘いに対して「発想の転換」が必要と言っています。私は、これは少し違うのではないかと思うのです。100ミリ(あるいは20ミリシーベルト)を強調するのは、緊急時であって、しかも避難するかどうかの基準が関連した場合です。それに対して1ミリ(以下)が妥当かどうかといった場合は、内部被曝を含む、主に子どもなどの健康にとっての基準を考える場合だと思うのです。私は、一緒にすべきではないと思います。この章でも鎌田氏は、「20ミリシーベルトという(根拠のない)基準を国はいい加減に決めている。」と言っています。この章と第2章を読んでも、鎌田氏はそのどこでも、バツを良しとしていないし、サンカクでいいともしていません。結果としてのサンカクも有りなら分かりますが。少し揺らぎながらも、彼のマルは、しっかりと見て取れました。それは 「だいじょうぶ」は改善を止めてしまう にもよく表れています。

―「だいじょうぶ」と学者が言う。政治家も「だいじょうぶ」と言う。…食べ物もだいじょうぶ。グランドもだいじょうぶ。だいじょうぶと言う言葉は改善を止めてしまう。本当の安心が出来るように行動すべきだ。口だけではダメ。放射能はほんの少しもよけいに浴びないほうがいいんだという原点に立って、やれることをやる。―

 そして、P14 あたりですが、確かに鎌田氏が福島に入り「命と健康を守るという原点に」としつつも、それだけでは行動を決められない人たちが多いという現実に、自主避難を現地で被災者にすすめても反応がうすかったと言っています。計画的避難区域の決定の根拠が20ミリシーベルトだというのは、苦渋の選択(サンカク)。大人も子どもも20ミリシーベルトまでいいとは思わず、1ミリシーベルトをめざす。(マル)「ICRPは平時でも、一時的に5ミリシーベルトまで可としている。1ミリシーベルトを目標にしながら、この1年は、一般の人はこれを目標にすることをすすめる。」と言っています。やはり、子どもなどに関しては、どんな場所でも、あくまで原点(マル)の1ミリシーベルト以下をめざすこと。それに近づけること。そこを譲ってはいけない。しかし、大人に関しては、当面はサンカクも有りといったところではないでしょうか。それも「信頼」と「納得」があった上でのことですが。

第3章 三人と意見をぶつけ合ってみる

「チェルノブイリと福島原発 同じ病巣と相違点」― 長崎大学教授で被曝医療の専門家である山下俊一氏との対談 

 山下氏は100ミリシーベルト以下では健康影響はないと断言するなど、低線量被曝の影響を過小にみる立場にあります。対談でも「チェルノブイリで唯一起きた低線量被曝による病気は、子どもの甲状腺がんのみ」という考えを表明しています。山下氏は、福島県の健康リスク管理アドバイザーでもあり、講演会などでは、「「国の指針が出た段階では、国の指針に従うのが国民の義務だ。」とも発言し、リコール運動が起きた人物です。チェルノブイリに深く関わったという共通点はあるものの、鎌田氏とはどう考えても合わない方です。

 朝日新聞などは、9月1日付ですが、「朝日がん大賞を受ける」と「ひと」欄で紹介し持ち上げています。同紙は、この間、紙面にも幾度も専門家談話(6月16日など)で山下氏を登場させています。それは7月19日の紙面審議会で、内田樹委員の「低線量被曝の危険性についての警鐘が紙面から見えてこない。」という指摘に対して、朝日新聞の杉浦編成局長が「低線量被曝の危険性については、政府や学会同様、朝日新聞としても評価が定まってない。」と言っていることから頷けます。もともと3.11震災・福島原発事故後に「脱原発」へ、急に方向転換した新聞ですので限界があります。当初は、学会の考えも四氏と様々取り上げていましたが、このところは、最も厳しい見方をしている甲斐倫明氏の登場が多くなっています。山下氏とは長年の関係で評価し続けているのでしょう。

 「対談を終えて」で、鎌田氏は「山下さんと反対の立場の専門家ががんがんとやりあって、国民が納得できる基準をつくってほしい。」と言っています。

「組織も監視も情報公開も原子力は未成熟だった」―原発行政への「遺言」を書いた住田健二氏との対談

 住田氏は98年4月~00年3月の原子力安全委員長代理。JCO臨界事故では現地で収束の指揮をとった方です。核融合の専門家で原子力は必要だという立場で、太陽光発電や風力発電で原子力をカバーできるものでないという立場。そのために最優先で取り組まねばならないのが、安全性の確保だとして、経済産業省の中にある、原子力の推進と規制の機能を分離すべきだということを提言(遺言のように)していました。原子力村の一員なのですが、原子力はまだまだ未成熟とし、4月1日には、16人の科学者が出した緊急提言書で国民に詫びています。

 対談の中では、放射性物質の拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」のデータの公開の遅れが住民に余分な被曝をさせたこと。原子力専門の人たちは結局、経済に負けている。などで両氏が共通の認識を持っていると思いました。

 住田氏は、毎日新聞のインタビュー(7月14日付)でも、「チェルノブイリもスリーマイル島も原発1基の事故だった。福島のように4基もいっぺんにだめになるのは例がない。地元が受け入れるからといって、同じ地域にたくさんの原発を安易に造るのは控えるべきだろう。自然災害のリスクを分散できない上、同じ場所で複数の原発が事故を起こすと現場に近づきにくくなり、収束の作業が難しくなるからだ。今後の原発新設は、増設でなく、安全性の高い新鋭機への置き換えを中心にすべきだ。」と言っています。それなりに説得力はありますが、それでも私は、鎌田氏と同様に、地球に核はいらないし、原発もいらないのです。

「すぐに原発廃止しても節電と自然エネルギーで対応できる」-脱原発の理論家である田中優・エコロジストとの対談

 原発に頼らない社会の実現を主にエネルギー問題から取り上げている方が、田中氏です。原子力発電の推進をやめる。メディアを支配する広告宣伝費を取り上げる。賠償に代えて送電網を公共財にする。などを提唱しています。対談でも、日本のエネルギー資源輸入額23兆円を自給の自然エネルギーに変えていき、「地域経済の活性化」をさせていく、「エネルギー自給率を上げて雇用をつくり出す」としています。世界中で最大に投資されているスマートグリッド(次世代送電網)の根幹技術は、家電など省エネ製品、自然エネルギー、バッテリー、電気自動車、IT技術など、どれも日本が先頭を走っている。それが、そうしてものにシフトしていけば可能だとしています。

 「対談を終えて」で、鎌田氏は、田中氏の講演会の熱気のすごさを伝えています。私自身もこうしたエネルギー問題や、その根幹となる技術の問題には大いに関心があります。田中氏の著書「原発に頼らない社会へ」も、だいぶ前に購入しています。しかしまだ読んでいません。それほど難しそうでもないのですが…
「ゆきとどいた教育をすすめる栗原市民の会」の役員会でも10月末の総会後の記念講演のテーマに「エネルギー問題」をという声が多く出されました。しかし、私は、確かにその問題はこれから重要になってくるけど、その前にどうしても「放射能と健康」の問題、とりわけ「放射線低線量での内部被曝の危険性-子どもたちを放射能から守るために」の問題を、と説得しました。勿論、脱原発へと向かうのですが、まずそこを、しっかりとおさえた上で(それを大前提として)、原発をどうするのか、日本のエネルギー問題をどうするかを考えるべきだと譲りませんでした。もうしばらくの間、この田中氏の本は、私の机の上に、積読になっていることでしょう。

<最後に少し、+感想を>

 本書は、たまたま図書館の新刊書のコーナーで見つけたものです。これまで、鎌田氏の書いた文は読んでいても、本は読んでいませんでした。本書を読んで、行動的で、悩みながらも極めて誠実で、良心的なお医者さんだな、とても好感を持ちました。情報量も多く、内容も豊富で、結局、読むのにも時間がかかり購入しました。とても参考になりました。鎌田氏は、私と同世代ですが、そのエネルギッシュな活動には敬服します。私自身、福島原発事故が起きるまでは、チェルノブイリのことも、原発のことも、少し関心が薄かったと反省しています。
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