触媒生活

セカンドライフに入っての日常生活を文章、日記などで表現します。「触媒」のような役割を果したいというのが私のモットーです。コメント等をブログでも受けますが、連絡はメールでfa43725@yb3.so-net.ne.jp まで。

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「内部被曝の真実」を読んで

<BOOKS> (44)            2011.9.21

「内部被曝の真実」を読んでーこれが決定打となると確信!

出版社: 幻冬舎 (2011/9/8)   

<内容紹介>

 「私は国に満身の怒りを表明します」  「7万人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体、何をやっているのですか!」福島原発事故では、広島原爆20個分以上の放射性物質が放出された。国が「測定と除染」に今すぐ全力を挙げなければ、子どもと妊婦を守れない。 YouTubeで100万回以上も再生されて大きな反響を呼んだ、正義の科学者による魂の国会スピーチを完全採録。 さらに■国会でのスピーチに寄せられた疑問・批判への回答■ヨウ素被曝と子どもの甲状腺がんの因果関係の立証には長い年月がかかることを、今から2年前にすでに警告していた論考■国会出席を決断するにいたった南相馬でのある1日について書き下ろした「私はなぜ国会へ行ったか」を加えての緊急出版!

<著者について>

児玉 龍彦

1953年、東京都生まれ。77年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部助手、マサチューセッツ工科大学研究員などを経て、東京大学先端科学技術研究センター教授(システム生物医学)。2011年4月より東京大学アイソトープ総合センター長を併任。
著書に『新興衰退国ニッポン』(金子勝氏との共著、講談社)、『逆システム学』(金子勝氏との共著、岩波新書)、『システム生物医学入門』(仁科博道氏との共著、羊土社)等がある。

<目次>

第1部 7・27衆議院厚生労働委員会・全発言(私は国に満身の怒りを表明します。 子どもと妊婦を被曝から守れ―質疑応答)
第2部 疑問と批判に答える。
第3部 チェルノブイリ原発事故から甲状腺がんの発症を学ぶ―エビデンス探索20年の歴史と教訓
第4部 “チェルノブイリ膀胱炎”―長期のセシウム137低線量被曝の危険性
おわりに 私はなぜ国会に行ったか
付録 国会配布資料

<内容からの要約メモ>

第1部 7・27衆議院厚生労働委員会・全発言

1 私は国に満身の怒りを表明します

広島原爆20個分以上の放射性物質が撒き散らされた

 3月15日午前9時、東海村で5マイクロシーベルト/毎時の線量を検出、文科省に第10条通報。その後東京で0.5。3月21日にも雨が降り0.2。これが今日までに至る高線量の原因に。この時、枝野官房長官が、「さしあたり健康にあまり影響がない」と。私は実際にこれは大変なことになると。

 福島原発事故の総量は、熱量で、広島原爆の29.6個分、ウラン換算では20個分のものが漏出。しかも、1年経っても、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしか減らない。(原爆は1000分の1に)つまりチェルノブイリ事故と同様、総量で原爆数十個分に相当する量が漏出し、原爆汚染よりずっと大量の残存物を放出した。(考える前提)

通達1枚で農家に情報が伝わるわけがない

 セシウムがどこでどう落ちるか、その時の天候、また例えばその物質が水を吸い上げたかどうかといったことで決まる。農水省が通達を出した3月19日には、現地は、食糧も水もガソリンも尽きようとしていた。そのような中で通達1枚を出しても誰も見ることはできないし、知ることができません。稲わらがそのような危険な状態にあることには、全く農家には認識されていなかった。

もっと高性能の測定器があるのになぜ政府はお金を使わないのか

 何をすべきかーまず汚染地で徹底的な測定、それから食品検査。これはゲルマニウムカウンターでななしに、もっと高性能の、半導体を用いたイメージングベース(放射線を画像として写せる)が、はるかにたくさん開発されている。なぜ政府はそれを全面的に応用して機械を作るためにお金を使わないのか

内部被曝からがんはどのように起こるのか

 内部被曝の一番大きな問題はがん。放射線がDNAの切断を行うため起きます。DNAは2本の鎖から成る二重らせんで、二重のときは非常に安定的で切れにくい。しかし細胞分裂するときは、二重らせんはほどけて1本ずつになって、それぞれが2倍に増えて、鎖が4本に。この鎖が1本になる過程のところが、切れやすく、妊婦の胎児、幼い子どもなど、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常に危険性を持つ。さらに大人においても、放射性物質を与えると、増殖分裂の盛んな細胞である、髪の毛に影響、貧血に、腸管上皮に影響します。

被曝からがん発症まで20~30年―トロトラスト肝障害の場合

 実際には一つの遺伝子の異変ではがんは起こらない。最初の放射線のヒット後、もう1個の別の要因が重なって、がんへの変異が起きる。

 内部被曝というのは、何ミリシーベルトか、というのはまったく意味がない。ヨウ素131は甲状腺に集まる。トロトラストは肝臓に集まる。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まる。これらの体内の集積点をみなければ、いくらホールボディカウンターで全身をスキャンしても意味がない。

 トロトラストの場合は、第一の段階でP53の遺伝子がやられ、それに続く第二、第三の変異が起こるまでに20年から30年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こる。

疫学的に証明されるのを待っていたら遅すぎる

 1991年ウクライナの学者がチェルノブイリの子どもに甲状腺がんが多発していることを最初に報告。その時、日本とアメリカの研究者は「ネイチャー」に、1986年以前のデータがなく統計的に有意だといえないから原発事故との因果関係は分からないと投稿。統計的に有意だと分かったのは20年後で、86年から起こったピークが消えたために、過去のデータがなくとも因果関係があるということのエビデンス(証拠)になった。このように疫学証明は非常に難しく、全部の症例が終わるまで、だいたい証明できない。

母乳からのセシウム検出に愕然とした理由

 子どもを守るという観点からは、疫学的な考えとまったく違った方法が求められる。日本バイオアッセイ研究センター福島昭治所長による前がん状態のメカニズムの解明が進んでいる。セシウムは尿中に出るので膀胱の細胞に蓄積する。ウクライナなどで10万人当たりの膀胱がんが62%増加。福島博士らは500人の組織を検討し。6ベクレル/㍑が15年で、P53変異と増殖性膀胱炎を前がん状態と証明した。長期の低線量被曝でP38とNF-kBというシグナルが活性化し障害を生む。

 この濃度と同程度の濃度―福島の7名の母親の母乳からセシウム(2~13ベクレル/㍑)が、検出されていることが報告され、愕然とした。

子どもがわざわざ高線量の地域に通わされている

 南相馬市の緊急時避難準備区域の20~30㌔圏ではバスを仕立てて、1700人の子どもが区域外の飯館村に近い方の学校に通っている。(毎日100万円かけて)実際には学校の多くが海側にあり、7割の学校では比較的線量が低く、わざわざ高線量の地域に通わされている。障害となってるのは、強制避難でないと補償しないということ。補償問題と線引きの問題と、子どもの問題とは直ちに分けてください。

緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けるべき

 緊急避難的除染―滑り台の下、コケが生えているような雨樋の下など。恒久的除染―建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていると時間、コストとも膨大に。これをはっきり分けて取り組みを。

民間のノウハウを結集し、国策としての除染を(四つの緊急提案)

①国策として、食品、土壌、水を測定していく。最新鋭のイメージングなどを用いた機器を投入し、流れ作業に。

②緊急に子供の被曝を減少させるために、新しい法律の制定。

③国策としての汚染土壌を除去する技術に、民間の力を結集し、ただちに現地に除染研究センターを。

④除染にかかる何十兆円の国費。世界最高水準で除染を行う準備を即刻開始して下さい。

2 子どもと妊婦を被曝から守れ―質疑応答

「放射線は健康にいい」は本当か

 放射線などを当てると短期的には様々な効果をもたらし、それを健康にいい悪いという議論は様々ある。しかし、こういう状態を長期に続けると慢性炎症となり、これはがんの前提の条件になったり、様々な病気の原因となる。

国が線量について議論しても意味がない

 線量の問題、内部被曝の問題、様々な考えがある中で、-どこの線量が安全かという議論と、国の政治的な関わり方を分けていただきたい。

 考えていただきたいのは、どうしたら国民の健康を守れるのかということです。国民の健康を守るためにどういうことができるかというとき、まずセシウム137という物質は、自然界には1945年以前には存在しないものです。原爆と原発から生まれて、それが1960年代の初め水爆実験によってピークになったもの。その時猿橋勝子さんが、海水のセシウム濃度が100倍になっていることを微量線量計で確認し、そのデータを持ってアメリカへ行き公開実験をして、これが大気圏内の核実験禁止の大きな学問的根拠となりました。

 その後セシウムはずっと減って来ていたのが、今またそれをはるかに倍する量に上がろうとしている。線量の議論の問題を言うよりも、セシウム137が膨大に撒かれて散らばっている。しかもそれが広島原爆の20倍の量撒かれているという事態に対して、国土を守る立場から(国会では)ぜひ積極的な対応をしていただきたい。

行政が全力で測定し除染するのが、住民の一番の安心

 住民が戻る気になるのは、行政などが一生懸命測定し、除染している地域。測定も除染もなければ「安全だ」「不安だ」と言われても、信頼できるところがありません。「この数値が安全」「この数値がどう」ということではなしに、行政が仕組みを作って一生懸命測定をして、その測定に最新鋭の機械を投じて、じょせんに最新鋭の技術をもって、全力でやっている自治体が、一番戻るのに安心です。

全国の産地で緊急に食物の測定を

 入口の方で基準を決めるのは、非常に厳しい。出てきた農産物をきちんとみるという仕組みを徹底的に作ること。流れ作業で農産物の放射線がチェックする仕組みを全国の産地に緊急に整備していかないと、今回の稲わらのような、想定外の場所での濃縮事件というのは、自然界では山ほど起こります。

1回来て帰るだけの支援では問題をひどくするだけ

 信頼感というのは言葉で説明を聞いて生まれるものではない。本当に持続的にやっていこうとしたら、一緒に測って一緒に考えて除染していく。「何シーベルトだったら安全ですか?」という議論が現実味がないと思うのは、個別の場所で抱える問題が違う。「線量が高かいところがあったら必ず刈り取っていきますよ」と、「測って一緒にやっていきますよ」と「不安があったら相談に乗りますよ」と、「農産物があったら最新鋭の科学機器を集めて、最高の検査メーカーが来てやりますよ」という体制がない限り、安心できないというのが当たり前ではないか。

放射線取扱者として30年厳守してきた基準が反故にされている

 放射線取扱者として30年厳守してきた基準―「妊娠中の女子については、内部被曝を1ミリシーベルト以下にする」などが福島原発の事故で広島原爆の20個分の放射線が撒き散らされた途端に、すべて反故にされている。
 安全に関しては、いったん基準を決めたら、機器になったからそれを変えていくという格好ではダメ。基準を変えるのではなく、今は、今年は、できないかもしれないけれど、来年までにその基準に持っていく、再来年までにはこうする、ということでなければ住民は安心できるわけがありません。

多量の農産物を簡単に検査する仕組みは今すぐ可能

 イメージングの技術を基礎にして、半導体を集めたようなもののセンターを作って、流れ作業的にたくさん測定できるようにして、画像上で、放射線量が高いものをハネていく。これは既存の技術でできるもので、そういうことを全力を挙げてやっていただきたい。

今私たちが行っている除染活動はすべて違法行為

 高い線量のものが少量あるということに対応した法律体系はあるが、低い線量のものが膨大にあり、それをどう除染していくかということに関する法律はほとんどない。東大アイソトープセンターのしているのは全部違法行為です。法律を一刻も早く変えて、測定と除染とにぜひ立ち上がっていただきたい。

避難の問題と補償の問題を分けて考えるべき

 実際にいかに子どもの被曝を減らしたり、地域を復興していくかという問題が一つ。もう一つは、今は、強制避難だから補償が出る。でも避難区域が解除されたら補償が出なくなってしまう。そこで住民の間で意見の違いが生まれている。避難の問題と補償の問題を分けていただきたい。

第2部 疑問と批判に答える

データが足りないときこそ予測が大事

 政府は、必要なデータが全部そろっていなかったから、予測結果を発表しなかったといっているが、データが足りない中で、危険など、「一番可能性が高いのはこういうことだ」という結果を出すのが大事。データが全部そろっていたら、それは実測です。

線量を議論しても意味がないのはなぜか

 放射線の取り扱いでは、線量は核種ごとに管理します。ヨウ素は甲状腺に、セシウムでは、膀胱が問題になっている。甲状腺とか肝臓とか膀胱とか、それぞれを調べないと意味がありません。
 
 放射線障害でがんが起こるメカニズムは、― 放射線を一度にたくさん当てると、大量の放射線がDNAをズタズタにするから細胞が死にます。低線量の放射線は、DNAに変異を与えます。DNAが2本の時は比較的安定しており、細胞分裂のときには、これが1本づつに分かれ、それぞれが2本に分裂し、合計4本になります。この1本になった時に、放射線の感受性が高くなります。

 大人に放射線を当てた時も、髪の毛が抜ける、骨髄の機能が低下し貧血になる、腸管の上皮細胞が傷ついて下痢になるとか、細胞分裂の盛んなところに、最初に影響が出る。

 低い線量が当たってからがんになるまでに非常に時間がかかる。それは、遺伝子には、DNAが傷つかないように、P53遺伝子のような、直すための遺伝子がたくさんあります。だから、普通の遺伝子が1個やられても、その機能で修復されます。ところが、最初にP53遺伝子などがやられると、直す機能が壊れてしまいます。

 普通の人の場合、遺伝子が1回壊されただけでは簡単にがんにならない。第1段階の異変が入って、第2段階の異変が入る。60年、70年80年と、多段階の異変を経るにつれて、がんが増えてきます。それが、最初にDNAを守る遺伝子に変異が起きていると、10~30年経って第2段階目の変異が起こると、すぐにがんになってしまう。

甲状腺の場合は、汚染された牛乳などをたくさん飲むと、最初にRET遺伝子がやれられます。RET遺伝子が1回やられただけでは発がんせず、増殖するだけ。その後もう1個がやられると、がんになります。

 今すごく残っているのはセシウム137です。チェルノブイリでは、膀胱を調べ、尿中にセシウムが6ベクレル/㍑ぐらい出ている状態が15年ほど続いていると、みんな膀胱炎になり、がんが増えていっています。(6割増に)原発事故による放射性物質の影響が甲状腺に続いて、膀胱の組織でも見られたということを、心配しています。ぜひ今から一生懸命に除染をしなければならないと思うわけです。

 低線量の放射性物質の場合、問題は外部被曝ではなく内部被曝です。食事とか何かで入ってくるのが問題です。今回はすごい量の放射性物質が撒かれてしまっているので、いろいろなところで濃縮が起こります。雨樋の下、滑り台の下…煮詰まったように濃くなります。同じことが稲わらでも起きました。稲わらが雨水を吸っては乾いて、すごい量のセシウムが溜まってしまった。東京では最初に水道水に出て、次はコウナゴとかに出て、牛に出て、今後も、いろいろな食べ物に次々と出てきます。だから内部被曝を減らすためには、地域にある総量を減らさないと、非常に大変なことになるわけです。

危険を危険だとはっきり言うのが専門家

 危険というものに対して、専門家がどう対処するかという問題。物事には「属性」と「本質」があり、専門家がすべきなのは本質論です。専門家が本質論を言うことで、初めて専門家は信頼されるし、事態が回避される。今、人々がセシウムの危険性を知れば、その危険性を回避するのに、なんとしてでもセシウムの除去をみんなで頑張ってやろうとか、どんなに大変でも食品の検査をやっていこうとかいう風になっていく。

 健康被害の問題について、こういう可能性があるということをまずきちんと言うのが、医学の専門家の責任。「最初からこれを言ったらこっちがダメだろうから」と折り合いをつけてしまったら、専門家ではなく政治家です。

 危険あことがったら、これは本当に危険だから、苦労があっても何でもやっていこうと国民に伝えるのが専門家です。みんなが専門家に聞きたいのは、政治家みたいに折り合いをつけることではない。

 今までの原子力学会、原子力政策の失敗は、専門家が専門家の矜持を捨てたことにある。国民に本当のことを言う前に政治家に、経済人になってしまった。これの反省なくしては、東大も、日本の科学者の再生もあり得ない。

低線量セシウム被曝の危険性は国際的に認められてものなのか

 チェルノブイリの問題では、最初1991年くらいにウクライナやベラルーシの医師が低線量被曝で甲状腺がんが起こったと言い出したが、ロシアの学者などの反対でなかなか認められなかった。笹川財団がお金を出して調査しても1986年以前のデータがなく統計的に有意だといえないと指摘された。その後いろいろな経緯があって、チェルノブイリ事故から20年経って、やっと子どもの甲状腺がんがWHOで認知された。世界の学者の共通の土俵ができたのは、2005年になってからのこと。でもこのとき、最初にRET遺伝子が傷つけられた子どもたちはみんなもう発症してしまっていた。

 予測の科学には、レトロスペクティブな予測(統計学とか疫学的な予測)と、プロスペクティブな予測(コンピューターを使ったシミュレーション)があります。統計学や疫学は、過去の大量のデータをまとめて、新しいメカニズムを探すときに使われます。これに対して、今知られているメカニズムで未来を予測するときには、少ないパラメーターで厳密に計算しないといけない。これがシミュレーションの科学で、今はこの領域がものすごく進歩してきています。

閾値論もホルミシス論もおかしい

 福島昭治先生たちが500例もの症例を集めて、6つの論文になるまで調べた。その熱意と成果は、世界に非常に貴重なもの。低線量セシウム被曝の危険性についても、疫学的・統計学的に論文で検証され世界に認められたりするのは、ずっと後のことです。でもその時には、福島先生たちの研究に匹敵するだけの症例を集められる人はもういなくなってしまう。福島先生たちの研究でもう一つ大事なのは、P38遺伝子とかNF-kBというシグナル分子が、膀胱細胞などで活性化し障害を生むという」ことです。

 放射線障害で「100ミリシーベルト閾値論」が言われています。―年間被曝量100ミリシーベルトまでは、生体は放射線に反応しない、放射線の影響はないという説です。もうひとつ、ホルミシス論というのがあって、ある線量以下だと、細胞は反応するのだけど、いい影響しか出ないという説です。どちらも間違っています。

 細胞に低線量の放射線が当たると、P38のようなシグナル分子が活性化します。ホルミシス論はそれを論拠にしています。膀胱の上皮でP38が活性化されると、最初は細胞が増えたりします。それで元気になった、ホルミシス効果ではないかという研究者がいますが、増殖が長期に続けば腫瘍です。そのような増殖性病変が15年も続くと、それまでとは違った悪い変化が出てくるということを、福島先生たちは指摘されたわけです。

 一つの未来を予測するとき、メカニズムで予測しなくてはいけない。福島先生たちの20年にわたるウクライナとベラルーシの医師たちと協力して500例の症例を集めたのは、未来を予測するためのデータを私たちに示そうとされたからです。しかしこれに対して、それは関連性があるだけで因果関係ではない、まだ直接的な証明ではない、と言われるのです。医学的にはそのような議論はいくらでも続きます。しかしそれはちょっと違う。現実に、幼稚園から学校から田んぼから、至るところにセシウムが大量に散ってしまっている。でもまだ一過性の飛散で、表面にとどまっている。だったら、絶望的とか何とか言う前に、思い切ってセシウムを減らしていく。それが、今求められている。今できることをやるというのが、私たち医学者に課せられた使命です。

セシウムによる長期障害はヨウ素以上に難しい問題

 セシウムの内部被曝といっても、よく分かっていないことが多い。体の中にはいろいろ複雑な仕組みがあるので、簡単に予測していうのはなかなか難しい。セシウムの長期障害は、これから医学上の研究をして行かなくてはいけない問題です。甲状腺でも、世界中の学者が集まっても、ヨウ素の内部被曝と子どもの甲状腺がんの因果関係が認められるまでには20年もかかりました。その間に、発症はみんな終わってしまった。セシウムの場合は、成人ですからバラツキも多いし、もっと難しい問題になると思っています。

第3部 チェルノブイリ原発事故から甲状腺がんの発症を学ぶ―エビデンス探索20年の歴史と教訓

第3部の要旨 

①安易な”エビデンス論”への疑問。―アメリカ型の多数例を集めてメガスタディを行ってもエビデンスとはならず、その地域における疾患の全体を長年かけて網羅的に把握することのみがコンセンサスを得るエビデンス発見法であった。②ある原因での疾患の発症は特定の時間経過でのみ現れ、すぐ消えていくため、注意深い観察が必要。長い時間の経過が関わり、対策の求められているその瞬間には「エビデンスはない」ということがしばしばおこる。-(チェルノブイリの健康被害研究に関わった長瀧重信長崎大名誉教授)

 逆システム学の見方でいえば「統計より症例報告」という法則が重要。多数例の軽微な変化より極端なしかし端的な特徴を持つ少数例を現場でつかむことが、同時代の患者のために役立つ情報をもたらす可能性が強い。エビデンスがないということは、証明不能を語るだけで、因果関係の否定ではない。エビデンスを確立するには多数例の長い時間が必要であるため、短期においてはある地域に従来見られない特殊な患者が現れたときに即時に対応することが重要。例えばベラルーシに1991年、肺移転を伴う小児の甲状腺乳頭がんが次々見られた。その患者からRETプロトオンコジーンの変質が見つかったということが、チェルノブイリ事故と甲状腺がんをつなぐ”同時性“を持つエビデンスであり、甲状腺発がんのダイナニズムを教えてくれるサインだった。

チェルノブイリ原発事故による健康被害の実態
小児甲状腺がんの増加の原因をめぐる論争
因果関係のエビデンスが得られるのは20年後
エビデンスという名の迷路―増えたのは甲状腺がんだけなのか
極端な症例こそが最も重要な警報


第4部 “チェルノブイリ膀胱炎”―長期のセシウム137低線量被曝の危険性

第四部の要旨

 セシウム137は、核実験以前には地球上に存在しなかった。日本バイオアッセイ研究センターの福島昭治所長は、チェルノブイリ現地の研究者と,膀胱がんの100万人当たりの発症が、86年26人から01年43人に増加していることを発表し、その前がん状態として、増殖性の“チェルノブイリ膀胱炎”が広範に引き起こされていることを報告。前立腺肥大症で手術を受けて際に切除された164人の膀胱病理像を、高いセシウム線量、中間的線量、非汚染地域の住民の3群に分けて検討して、そのメカニズムを解明し、これら3群のヒトの尿中のセシウム137は、それぞれ6.47.1.27そして0.29ベクレル/㍑で、福島県内(30㌔以遠の福島、郡山など)の母乳と同じレベルであり、長期被曝が前がん状態をつくり出すという報告は重要。

 今回のセシウム137汚染は一過性のものであり、除染でかなり減らせる。食品汚染も一過性にピークを迎える。検出体制を整備し、セシウム137で汚染された食品の摂取を避けることが緊急の課題。作業員、高汚染地区に住む住民には、セシウム137を吸着するペクチンなどの予防投与の検討が必要。

 われわれは子孫への責務を負っている。核実験による低レベル放射能を検出しアメリカでの公開実験を通じて核実験禁止の流れを生み出した、猿橋勝子博士に学ぶ必要がある。人間が生み出したものは、人間の努力で除去できないわけはない。現在の少量の高い線量の放射性物質を想定している法体系を、低線量のものが膨大に放出された福島原発事故に対応できるように変え、わが国の医学界も総力を挙げ取り組む体制を整える必要がある。また損害賠償において被害者立証はいわば不可能であり、加害者(東電、政府)による被害者全面外相が必須。

深刻化するセシウム137の汚染
1940年代以前には地球に存在しなかったセシウム137
前がん状態“チェルノブイリ膀胱炎”の発見
チェルノブイリ住民に匹敵する福島の母乳のセシウム汚染
子どもたちの接触・吸入を防ぐために今すぐ除染を
現行法では低線量・膨大な放射性物質を処理できない
被災者の立証は不可能である―東電、政府の責任
成層圏内の核実験禁止に貢献した猿橋博士の志を受け継いで


おわりに 私はなぜ国会に行ったか

委員会出席への依頼、そしてためらい

 7月19日に27日の厚生労働委員会に参考人として出席するよう依頼を受ける。(26日までに資料をと)考える時間は1週間もない。その短い時間に、国の最高機関で話す準備ができるかどうか心配だった。

大津波は本当に「想定外」だったのか

 この大津波は想定外であったと言われるが、津波についての本質を理解する専門家はそうでないと言う。専門家の仕事とは、「一見このように見えるが、実はこうだ」ということを予測するところにある。さらに専門家とは、歴史上起こった津波の大きさや、世界で起こっている津波の大きさを知っていることが求められる。普通の人が専門家に聞き、学びたいのは、「経験」の枠を超える「歴史」からの知識である。

専門家とは、歴史と世界を知り知恵を授ける人
牛肉からセシウム検出の衝撃―7月9日南相馬にて
稲わら汚染のようなセシウム濃縮はいたるところで起こりうる
事故の本質と対策を全知全能を傾けて語る決意


四つの提言―私が伝えたかったこと

 福島原発事故からの放射能汚染の本質は、広島原爆の20個分以上の膨大な放射性物質が飛散したことにある。平均的には低い濃度でも、さまざまなところで濃縮されて被害が起こる。農産物も人体も、牛も同じ。放射能汚染は、調べてみない限り、どこで何が汚染されているか分からない。そこで広範に徹底的に調べ、除染していかなくてはいけない。

①最新の技術を駆使した食品検査を
②住宅の汚染を検査する“すぐやる課”を
③自分たちで緊急的除染をするときは土ぼこりに厳重注意
④行政による長期的な除染は住民の同意のもとに

人が汚したものを人がきれいにできないわけがない

 福島原発の除染については、すべてはこれから。我々は、祖国の土壌という、先祖から預かり子どもに伝えるかけがえのない財産を汚染してしまった。しかし、人が汚したものを人がきれいにできないわけがない。そのために全力を尽くすのが我々科学者の責任。

付録 国会配布資料

<私の感想>

 私は、この間8月26日の原発・放射能問題学習会で講師をした時の反省―「放射線低線量による内部被曝の問題」を良く説明できなかった。-から、菅谷氏、鎌田氏、肥田氏といういずれも医師の書いた著書の紹介をしてきました。それぞれいろいろ学ぶところが多い著作で、かなり自分なりには核心には近づきつつあるとは思っていました。しかし、それでも今一つ何か足りない、決定打に至らないと感じていました。三人目の肥田氏の(共著ですが)「内部被曝の脅威」は、6年前に書かれて物でしたが、フクシマ以後の今日的に読み返す必要が高いものだと思いました。私自身の千葉での大気汚染公害訴訟に関わった経験もあって、そこでの私の感想「科学者・学者は、ただ専門家であるだけではだめなのです。汚染や被害の事実を具体的に押え、命を守る、被害者の立場に立つ見識を持っていなければならないのです。そうした被害者の立場に立つことができる科学者・学者なのか、人間なのかが問われてきます。また、そうした中でこそ、科学・学問も鍛えられ、人類(人間)のために発展するのだと思っています。」がそのままこの本書における児玉氏に当てはまると確信しました。7月27日の衆議院厚生労働委員会での様子は、初めは新聞報道で知りました。その後ネットでその発言を確認しました。医師としての良心に基づく大変強い責任感を感じ感動しました。

 その後も8月15日に、菅首相(当時)に児玉氏は官邸で面会し、「現在の法制度では少量の汚染しか想定しておらず、膨大な放出には対応できない」と指摘。汚染マップ、住民主導による長期的な除染計画の策定、食品検査の充実などを提言しています。それを受けて、菅首相(当時)は、「放射能による汚染問題を総合化しなくてはいけないと」語り、総合的な対策を検討する考えを示したと報じられました。

 私は、この頃から政府は、福島原発事故発生当初の初動での大きなミスからようやく放射能汚染対策の軌道修正をし始めたように思います。私は、それで、新聞広告で本書「内部被曝の真実」が出ると直ぐに注文しました。内容は、この国会でのスピーチに加え、それに対して寄せられた疑問・批判への回答や、ヨウ素被曝と子どもの甲状腺がんの発症、セシウム137による膀胱炎(前がん状態)など低線量被曝の危険性を明らかにしています。また、因果関係の立証には長い年月がかかり、科学論争よりも汚染被害の実態の測定・調査を、まず子どもと妊婦を守るために除染と食品検査の徹底とを求めています。しかし、科学的な論点に関しても、まず、汚染の全体像(量)をとらえること、因果関係にしても従来の手法とは違った新しい捉え方、プロスペクティブな予測(コンピューターを使ったシミュレーション)を用いることが、被害発症を抑えるためには現実的だと理解できました。その意味では、当面の不毛な論争に終止符を打つべき、被害者立場―人間の命と健康を守る立場に立った全体を包み込む視点を提供しています。

 国会では、これまで多くの科学者・専門家が発言してきましたが、この児玉氏の発言(その根底には南相馬市での実践がある)ほど、各方面から最も注目され、大きな共感を呼んだものはありません。ですから、私の「内部被曝の真実」を読んでーこれが決定打となると確信!なのです。これ以後、民主党政権は、この児玉氏の発言をおおいに参考にしてきていると思います。しかし、その後、児玉氏は講演で「除染法が国民にほとんど知られないまま、八月末に衆議院と参議院を通過(成立)してしまいました。除染活動について菅首相には『これまでの原子力関係の方は一歩引いていただいて、清新でベストでブライテストな人で委員会を国会の責任で作る。そして国会にすべて報告するような透明性の高い仕組みを作ってください』と申し上げました。ところが、除染法の採決直前に『原子力安全委員会が諮問する』という五六条が国会審議抜きで突然、加えられた。野田新首相には是非、五六条を直ちに変えることをお願いしたい」と言っています。このように除染に関する専門知識を持つ人が入らず、原子力安全委員会など原発推進勢力が中心となるようでは住民主体・住民主導の除染計画は立てられません。

 「原子力ムラの外郭団体(原子力機構など)を通さないと除染費用が出ない」などといった中央主導になってしまう危険性も出てきています。

 本書で児玉氏の言っていることは、確かに”決定打“となるものと私は確信しています。しかし、それが実際に実行されるかとなると、いろいろな妨害が出てきそうです。原子力ムラの守旧派もですが、他にもいろいろありそうです。しかしこれができなければフクシマ以後は最悪になってしまい、日本の将来はありません。自分たちが暮らす地方では、自治体を、地域を、これができるように多くの人たちと協力して持っていこうと思います。でも、国では、ここは、野田首相の力量が問われてきます。




(追記:9月22日加筆)

 本の紹介に思っていた以上に時間を取られてしまい、昨夜<私の感想>を大急ぎで書いてしまいました。その後、何か抜けてしまっている気がしてきて、考えていた時、「ドイツの『バイエルン国立歌劇場』の来日参加予定だった団員約400人のうち約100人が来日を拒否」というニュースを知りました。原発事故の影響を恐れるなどして、海外からのオーケストラ公演などが中止になったり、楽団員らが来日を拒んだり、といったケースが未だに止まっていないようです。

調べてみると、ドイツは、原発事故後から現在も、日本への渡航自粛勧告を出している。駐日ドイツ大使館では、一時大阪に退避したほか、9月5日には、放射能を恐れて約10のポストが空席のままだと…ドイツのほかにも、6月には、イタリアのバレエダンサーが来日を拒否して代役を立てた。7~8月には、オーストリアやフランスのダンサー数人がキャンセルするなど、こうした例はたくさんあるようです。これらの背景には、その国が渡航を制限していることもあります。しかし、それに加えて、福島原発事故当初の日本政府の初動の失敗(メルトダウンを知っていたのに隠していた疑いがあること、海への無神経な放射性物質の放出など)や海外への説明不足が、日本への信用をなくしてしまっています。こうした海外の反応に対して、日本国内での反応の多くは、「チェルノブイリ原発事故で怖い経験をしているので、放射能アレルギーがあるのだろう」とか、玄葉外相のように、「これは、すべて風評被害だ」と言って片づけてしまっているのではないでしょうか。私は、そんな甘い認識では、これからも海外の信用は得られないと思います。

話が飛んでしまったようですが、本題に入ります。本書の冒頭で、児玉氏の言っていることー「内科の医師として、東大病院の放射線の除染などに数十年関わって…3月15日東京でも0.5マイクロシーベルト/毎時…3月21日にも雨が降り0.2マイクロシーベルト/毎時…枝野官房長官が「さしあたり健康にあまり影響がない」と。私は実際にこれは大変なことになると思いました。」ーこの後、放射線汚染物の排出総量の問題も言うのですが、まず、この汚染のレベルのとらえ方が、「どうも今の私と違うかな?」と思われたのです。本書の「放射線取扱者として30年厳守してきた基準が反故にされている」という記述のところでも、児玉氏が放射線被曝について細心の注意を払っていることが分かります。

そう、「今の私」の方が鈍感なのです。この数か月間、政府発表やマスコミを通じて大量に流されてきた「安全宣伝」の影響が、まだ、私の中にも残っているように思われました。ここ栗原は、宮城県の中でも比較的放射線濃度が高いところですが、それでも私の住む地区は低濃度です。それでも毎日のように中濃度、高濃度の地区へ出かけていっています。自主測定などでは幾度もホットスポット探しを行い、測定器の赤い警告色表示も幾度も見慣れてしまいました。私の日常の生活では、同世代以上の高齢者との接触がほとんどです。そこではどうしても鈍感になってしまうようです。8月中は、娘と2人の孫(3歳と6歳)が来ていて、さすがにこの時は、環境や、食べ物に細心の注意を払っていました。この間、学習会を開いたり、この原発・放射能問題に取り組む中で若い人たちとも接する中で、いろいろな人の考え、思いを聞いて、意見交換もしてきています。繰り返しますが、タイトルのように「内部被曝の真実」を読んでーこれが決定打となると確信!―という考え方については、私は、ここでしっかりと持つことはできたと思います。しかし、感覚がまだです。それで、これから、感覚について「今の私」を固定的にとらえるのではなくもっと柔軟に、敏感にとらえられるようにしていきたいと思っています。

最初のドイツの楽団員らの来日拒否の話(400人中100人)。これは多分、その中でも比較的若い人が多いのではないかと思っています。これは、単なるアレルギーとか風評ではなく、(それも多少はあるかも知れませんが、)多くは、彼らなりの正常な感覚、防衛策なのではないでしょうか。本当に、こうした感覚を持った(私よりも正常だと思いますが…)多分若い?海外の人たちたくさんに、喜んで、この私たちの素晴らしい日本に来てもらえるよう、日本をきれいにしていかなければなりません。(これが児玉氏の言っている総量の問題と関連してきます。)




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